第25話 うちのヒロインがセクハラしてきます


 

 六人から離れると、春花は気だるそうに溜息をついた。


「まったく、みんな変わらないなぁ。ああいうすり寄りでボクが喜ぶとでも思っているのかな?」

「中学の時からなのか?」

「うん。あからさまなごますりが気持ち悪くって。女子はボクに奢ってもらおうとするし、男子はボクに近づくために一夜漬けの知識で闘技ファンぶってくるけど、話の内容が浅いし、二秒に一度はボクのおっぱい見てくるんだもん。バレバレ」

「み、見ちゃうのは許してやってくれよ……」


 同じ男として、思わずフォローしてしまう。


「え、でも孝也は時々しか見ないよね? なんで? 孝也なら見ていいのに」

わざとらしく、お胸様を腕に押し当ててきて、ちょっと動揺した。

「と、時々でも見てねぇし」


 ほんとだぞ。ただお互いの立ち位置的に視界に入った時に『でけぇな』と思って視線を外すのが遅くなるだけだし。


「ねぇ、孝也ってさ、おっぱい見たら負けた気分になるタイプでしょ?」

「話を広げるなよ、セクハラとパワハラで訴えるぞ」


 図星を抉られて焦る俺に、春花はニヤニヤと笑いながら尋ねてくる。


「わかんないなぁ、男子っていつも何と戦っているの?」

「うるせぇな、男の子はいつも見えない何かと戦っているものなんだよ」

「へぇ、そうなんだ。だってさノエル。わかる?」

「わからないけど、タカヤは大きなおっぱいが好きってことですよね?」

「そうだよ。ボクらの胸に興味津々なんだよ」

「意地でもそっちのほうに持っていきたいんだなお前ら……」


 俺は、辟易とした溜息をついた。


 でも、おかげで同級生たちのせいで沸き上がったイライラは、全部吹き飛んでいた。


 同時に、高校時代は縁のなかった、女子との嬉し恥ずかしなラブコメイベントで気が紛れてしまう自分には少し戸惑う。


 その一方で、春花やノエルと一緒にいるのが楽しい証拠にも思えてくる。


 ——まぁ、冒険者業界が再建するには時間がかかるだろうし、しばらくは闘技者ライフをエンジョイするか。


「それで、昼はどこで食べるんだ? さっきは予約したとか言っていたけど」

「あれはウソ。ぶらぶらしながら、三人で決めよ」


 俺と腕を組んだまま、春花が明るい声で言った。



   ◆



 一時間後。


 昼食を食べ終わった俺らは、撮影スタジオ内の一室で、インタビューを受けていた。


 でもやっぱりというか、メインはノエルだった。


 白いテーブルを挟んだ反対側に並ぶ記者たちが、順番に質問していく。


「では、生活に不便はないのですか?」

「ないですね。ハルカのおうちは居心地がよいのです」

「ドラゴニュートの里には電気が無いと聞いていますが、こちらの家電にはすぐ慣れたのですか?」

「はい、ハルカが全部教えてくれるのです」

「でも、どうしてこんなことができるんだろうって、驚かなかったの?」

「ん? あなたはテレビやスマホの仕組みを知っているのですか?」

「いや、知らないけど……」

「じゃあわたしと同じですね」


 記者の一人がばつの悪い顔をした。


 ノエルのほうが一枚うわてだ。


「では、ここからはちょっと重めの質問を。答えたくない場合はノーコメントでけっこうですので」


 記者には失礼な人も多いと聞くけれど、ネットの発達でモラルを欠いた記者への個人攻撃が増えたせいか、今ではコンプライアンスに配慮した記者も増えているらしい。


「ドラゴニュートは人とドラゴン、両方の体を持つそうですが、どちらが本物ですか? 専門書で読みましたが、当事者としての意見を聞かせてください」

「どっちも本物です。その質問は、右脳と左脳のどっちが本物なの?と聞かれている感じです」

「じゃあ、貴方はドラゴンですか、人間ですか? と聞かれたらどう答えますか?」

「法律上は人間なので、人間の中のドラゴニュート民族です。この前まではドラゴンの中のドラゴニュート種でしたけど。次は何になるんでしょう」


 記者が閉口した。


 ノエルって、子供っぽいと思っていたけど、意外に口が回るんだな。


 そもそもすぐに人間生活になれたりスマホを使いこなしているし、精神年齢は幼くても、地頭はいいのかもしれない。


 それとも、子供っぽいからこそか? 子供のほうが、大人よりも鋭い指摘をしたりする。


 煙草を吸う父親と吸い殻の灰を見た子供が『なんでパパはゴミを作ってるの?』と聞いたエピソードをテレビで見たときは、思わず納得してしまった。


「では続いて、高橋孝也選手に質問です」

「はい」


 記者の前なので、余所行きの態度で臨んだ。



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 ちょっと雑談的な宣伝を。

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 本作を読んでくれてありがとうございます。

 作者の鏡銀鉢です。


 本作と並行してカクヨムで【美少女テロリストたちにゲッツされました】を連載中なのですが、驚いたことに、そちらとこちらの一日のPV数がほぼ同じぐらいです。

 どちらも毎日1000回以上PVがあり、助かっています。

 

 ランキングでも、こちらは現代ファンタジー、あちらはラブコメですが、高評価を頂いています。

 昨日の日刊総合部門では、本作が67位、あちらの美少女テロリストが45位と、なかなかどっこいの成績です。興味を持っていただけたら、一読ください。

(アンチ冒険者ギルドものとしては、カクヨムに【闇営業とは呼ばせない 冒険者ギルドに厳しい双黒傭兵】も掲載しています)

 

 デビュー以降、MF文庫Jさんのお世話になっており、複数の作品を同時に連載する、というのは初めてですが、どちらも愛され嬉しいです。

 片方だけ不人気だと作品に申し訳なくなります。

 

 しかしこれも皆さんのおかげです。フォロワーなど応援者様の名前を読むと、両方読んでくれている人もいてテンションが上がります。


 では、わたくしごとが長くなってしまいましたが、感謝ページです。

 皆さんのおかげで本日、8000PVを突破することができました。

 そして先日、現代ファンタジーの週刊ランキングで8位になったと書きましたが、本日週間ランキング5位になりました。読んでくれた皆さんありがとうございます。

 また、この場を借りて、支援してくれた方々へ感謝を。

 この作品をわざわざフォローしてくれた

ノラ猫さん ikeshu10348さん mmng97さん tadanokeiさん ragunaereizarさん

links07さん seirouさん Kohaku411さん tatsuzoさん byakuyawtwtさん 

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 本作に★をつけてくれた

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しおいさん mitu226さん n5hl_14n5さん

 エピソードに応援をつけてくれた

僕とおかんと、時々おでん。さん yo4akiさん yuma02さん 

コギタンスさん kisaragiyouさん  ODIN9612さん

Akirakobayasiさん deepcoolさん  genta58さん saeduki2さん okawaさん 

id-psdさんtoyboxさん sin34649さん

 皆さん、ありがとうございました。とても嬉しいです。

 この調子で、本作の需要を伸ばし、発展させることができればと思います。

 では次回、25話でお会いしましょう。

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