第12話 ノエルの大切なものをあげますね
シャワーから上がって着替えると、ちょうど春花とノエルもシャワー室から出てきた。
ドライヤーもちゃんと当ててもらったようで、ノエルのストロベリーブロンドはふわふわだった。
「タカヤ、今日はありがとうです。おかげで強くなれた気がします」
顔を合わせるなり、ノエルは両手できゅっと、俺の手を握ってきた。
ノエルの手はぷにぷにとやわらかく、本人の愛らしさも合わさって、とても心地よい。
ただ、ドラゴニュートっていうのはちょっと引っかかる。
彼女は気にしていないみたいだけど、つい最近までドラゴニュートを討伐する気満々だっただけに、後ろめたいと言うか、なんとなく、居心地の悪さを感じた。
「孝也、随分とノエルになつかれてるわね」
「そうか? ところで、ノエルって手が金属質だったからアーマードラゴンかと思っていたんだけど、翼からジェット噴射していたしボルカンパンチ(火山拳)とか。もしかしてこいつボルケーノタイプか?」
ドラゴニュートは、火とか氷とか、特に属性を持たないノーマルドラゴンが多い。けど、変身するとファイアドラゴンとか、フロストドラゴンとか、特定の属性の力を持つ連中もいる。
ボルケーノタイプは、俺の得意な爆発系の力を持つドラゴニュートだ。
「いや、ハーフだって。パパがボルケーノタイプで、ママがアーマードラゴンらしいよ」
「ボルケーノなのにノエル(クリスマス)なんだな」
「誕生日が12月25日なんだって」
「そっか、なら、今後は爆発と金属の特性も考えて鍛えるか」
「はいです」
ノエルの手に力が入って、俺の腕に抱き着いて来た。
確かに、これはかなりなついているな。
ドラゴニュートだけど、外見は美少女なので、少し、動揺してしまう自分に抵抗を覚えると、不意にノエルが頬を染めた。
「タカヤ、お礼に、ノエルの大切なモノをあげますね」
「え?」
女の子の口から聞くその言葉は、凄まじいパワーワードで、俺は背筋が伸びた。
「ちょっと恥ずかしいですけど」
「ッッ!?」
予感は確信に変わり、俺は思考が麻痺した。
「いや待てよおい春花っていうか他の女子が見ている前でお前そんな大胆発言」
ノエルは、ミニスカートの中に手を入れると、純白の三角形を引き抜いた。
「~~~~~~~~~~~~!?」
「ノエルの、乳歯です」
「……………………………………………………ほえ?」
俺は馬鹿づらをさらしながら首を傾げた。
「わぁすごい。ヴォルケーノアーマードラゴンの牙なんて激レア素材じゃない。これでハルバードを作れば、一気に戦力アップだよ。よかったね孝也」
「そ、そうだ、な」
わざとらしく、ニコニコ笑顔を作る春花が、無性にムカついた。
こいつ、絶対にわかっているだろ。
「あるぇ、どうしたの孝也? なんか残念そうだけど、何を期待していたのかな? このこのぉ、孝也の男子、男の子」
春花は俺の首に腕を回しながら、あごをなでてきた。
「お前なぁ……」
極めてムカつくも、春花の豊乳がわき腹に当たって極めて気持ちよいので、許してやることにした。
けど、ノエルが春花を真似して、エアあごくいをしているので、やっぱり憎らしい。こいつは、ノエルの教育上よろしくない。
「じゃあそろそろ行こうか。ノエル、お昼ご飯は何を食べたい?」
「和食が食べたいです」
「この近くに天ぷら屋さんあるよ」
「てんぷら」
春花に頬をつつかれながら、ノエルはぷにぷにの頬を染めて喜んだ。
——こいつ、マジでドラゴニュートらしくねぇなぁ。
ノエル以外に本物のドラゴニュートに会ったことはないけれど、フィクションに出てくるドラゴニュートは、いずれも殺戮戦闘民族然とした存在か、人型の化物として描かれる。
——まぁ、オタク向けの作品だと萌化してノエルみたいな美少女にされているし恋愛作品もあるけどな……。
萌え作品は参考にならないと思っていたけど、案外あっちが本物に近いのか、それともノエルだけが例外なのか、悩むところだ。
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この後、孝也はヒロインであるノエルの歯から作ったハルバードを使うわけですが、ある意味かなりの上級者ですね…………。
話は変わって、本日、2020年6月17日、現代ファンタジーの日刊ランキングで11位を頂きました。
これも本作を読んでくれた皆様のお陰です。
ありがとうございました。
それと、この場を借りて、フォローしてくれた方々にお礼を申し上げます。
白狐ラビさん SUZUNAUTAGAWAさん
taru_nさん monnmariさん osward141001さん
Yuuuuさん noctis0823さん saeduki2さん
id-psdさん namukoさん professorziziさん
木島シヤさん tomorrowwithさん
ありがとうございます。
また、★をつけてくれた方々にも感謝です。
saeduki2さん yuma02さん kalki27070さん MR555さん じゃっくさん
ありがとうございました。
エピソードに♥、応援をくれた
よっちさん yuma02さん id-psdさん null-nullさん
さんもありがとうございます。
(見落としてしまった方がいたらすいません)
フォローや評価、レビュー、エピソードに応援がつくと大変励みになっています。今後も本作を好きでいてくれると嬉しいです
ではまた、13話で会いましょう。
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