第28話 こいつが俺のこと好きとか絶対嘘だろ
「そういえばオウカ、爆破された刑務所はどうなったんだ?」
「囚人たちなら一人も逃げていないよ。逃げるどころか、みんなで酒蔵が無事か確認に行ったぐらいだ」
「自分の自由よりビールかよ!」
「近々出所する囚人が、もうしばらく刑務所に残れないか相談に来ているらしいぞ」
「ビールの魔力半端ねぇな。でもそういうことなら、国で雇おう。どのみち客土による農業改革は国の公共事業みたいなものだ。希望者は出所後も雇って、ビールを飲めるようにしよう」
「流石の慧眼だな。やはり君は頼りになる」
頬を緩めるように浮かべた笑みに、テロリストの長たる威厳はない。それは女性が愛する男に向けるように、好意的な表情だった。
——くそ、テロリストのくせにドキドキさせやがる。
いわゆる、悔しい、でも感じちゃう、という気持ちになる。
「ところでナナミとはどうなっている? 実はあれで、かなり君のことを気に入っているのだが」
「え~、そうは見えないぞ?」
「そうか? 君のいないところでは褒めているぞ」
「本当かよ?」
「本当だよ。あれは私のことが好きすぎるからな、愛する姉貴分を取られて焼きもちを焼いているだけだ。君のことが嫌いなわけではない」
言われてみると、そんな気がしないでもなかった。
なんだかんだで、態度は徐々に軟化しているし、村を救ったことを感謝しているらしいし、俺を疑うようなこともなくなった。
俺がナナミの言動を振り返っていると、曲がり角からカナが顔を出した。
「オウカ殿、ショウタ殿、おはようであります」
いつもの解放軍ルックに眼帯を付け、キビキビと敬礼をする。
「おうおはよう」
——背中にはいつも通りライフルか。相変わらずの残念美少女だな。
呆れながら、カナの銀髪のポニテと紫色の瞳、そして、程よく大きなおっぱいに視線を落とした。
カーキ色のノースリーブシャツを押し上げるふくらみの頂点が、なまめかしく突き立っていた。
「のぐぁっ!?」
眼球が血走るのを感じるほど、俺はまぶたを開けた。
「? ショウタ殿? どうしたのでありますか?」
「カァアアアアアアアアナァアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
曲がり角から、大きな青いブラを手にしたナナミが駆け込んでくる。
下乳しか隠さず、露出面積の大きなハーフカップタイプのブラ。
あれがカナのブラなのか!?
カナは、ああいうブラをしているのか!?
俺の視線とブラと自分のバスト状況に気付いてから、カナは錯乱した。
「にゅぁああああああああああ!」
自分のおっぱいを抱き隠しながら、ナナミの握りしめるブラに手を伸ばして、カナは悲鳴を上げた。
普段の軍人口調からは想像もできないくらい、可愛い声だった。
「見るなです!」
ナナミのドロップキックが俺の顔面を直撃。
ブラックアウトする視界と、頭に鈍痛が響く中で思った。
やっぱり、ナナミが俺のこと気に入っているとか嘘だろ。
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