迫る日暮れ
大半のキックバトルバードが倒されると、残った群れは俺達には勝てないと判断しどこかへと敗走していってしまった。
引き金を引いたのは俺のはずなのに、俺には全くヘイトが向かなかったので、みんなが倒したキックバトルバードを、一匹一匹丁寧に下処理する作業に勤しんでいた。
「これで最後、全部で36匹か。これだけあれば長期的に食べられるな。」
俺が下処理をしている最中に取り出した内臓をメリッサのハチが何匹も群がって食べている。前々から思ってはいたけれど、ミツバチっぽいのに肉食とは……魔物っていうのはわからないな。
「よし、一先ずはこれで大丈夫かな。それにしても、思わぬところで時間を食っちゃったな。」
これ今日中に街に到着できるかな……。少し不安になってきた。もう一回魔物に足止めされたら、どこか広い場所でハウスキットを展開することを覚悟しておこう。
「これで今日の夕ご飯はさっきの鳥の料理が食べられるかしら~。」
「もし街につけたら、そこで外食をするつもりだったけど……たどり着けなかったらそうなるかもな。ささ、みんなあとは馬車の中でゆっくり休んでてくれ。」
みんなが馬車の中に再び乗り込んだことを確認して、俺はグレイスに再び指示を出して馬車を進める。
「いやぁ~、みんな強いっすから魔物に襲われても安心っすね。」
「そもそもグレイスが馬車を引いてるのに魔物が襲ってくることは想定してなかったよ。本来の計画じゃ、何にも襲われずに街に着く予定だったんだから。」
「確かに、自分の姿を見てもビビらないのは、なかなか度胸のあるやつだったっすね。ランさんとかレイさんみたいにヤバいのもいるんすけどねぇ。」
「もしかすると北の方の魔物は凶暴なのかもな。それか縄張り意識が強いのか……。ま、どちらにせよ今日はとりあえず行けるところまで進んでみよう。」
俺はまたグレイスを温めるためにさっきの2種類のブレスを使う。
「できるだけ温めてあげるから、寒さに負けないように頑張って進んでくれ。」
「了解っす!!」
そしてグレイスのことを温めながら頑張って進んでもらったが、結局日が暮れてくる前に目的だった街に着くことはできず、道中でハウスキットを展開して今日はそこで一夜を明かすことになってしまったのだった。
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