新章 美味い物巡りの旅
いぜツンドライサへ
エルフの国を出発した後、俺たちは一度馬車ごと人間の国の街……エミルへと飛んだ。
「よし、エミルに着いたな。」
「ここに馬車を引いてくるのも久しぶりっすねぇ。」
「今度向かうツンドライサって言う村は、シュベールとは逆方向にあるらしい。」
「ってことはあっちの方に進めばいいっすか?」
ちょんちょんとグレイスはシュベールに向かう方向とは反対の街道を指さした。
「その通り。ここからかなり北に進むことになる。ツンドライサはこの国の最北端にある村だから、ここから旅を始めても、何日かかることか……。」
「そこは任せてほしいっすよ~。自分が最短で、そのツンドライサにみんなを運んでみせるっす!!」
「頼もしいな。」
グレイスの頭を何度か撫でてから、俺は操縦席に座った。
「よし、じゃあ出発だグレイス。今日の目標は、日が沈む前にエミルの一つ先にある街に着くことだ。できれば野宿は避けたいからな。」
「了解っす!!じゃあ飛ばしていくっすよ~!!」
意気揚々と馬車を引き始めたグレイスの馬力はやはりすさまじく、前に引いてもらっていた馬車よりも、遥かに拡張されて重くなったこの馬車を軽々と引いてツンドライサへと向けて進んでいく。
道中いくつ馬車を抜かしたのかさえも分からなくなるほど、グレイスの速度はすさまじかった。その影響で、運転席に座っている俺には冷たい風がびゅうびゅうと吹き付けてくる。
「うぉぉ……運転席はなかなか冷えるな。」
念のため厚着をしておいて正解だったな。
そしてしばらく進むと、グレイスの馬車を引くペースが徐々に落ちてきた。
「グレイス、大丈夫か?疲れたら休憩をはさんでもいいぞ?」
「ち、違うんすよヒイラギさん……。めちゃくちゃ寒くなってきたんすよ!!ホントは勢いよく飛ばしていきたいっすけど、これ以上体に当たる冷たい風が強くなると、動けなくなっちゃうっす。」
「エノールに用意してもらった防寒対策用の装備に切り替えるか?」
「そこまでじゃないっす。大丈夫っす。」
「わかった。」
俺の方でも何かグレイスを温かくする方法がないか試してみようか。
「暖かくする方法……暖かいと言えば火か。」
薪で温まるってわけにもいかないし、そうなると現状俺が使えるのは……ブレスだな。今度炎魔法でも誰かに教わってみようかな……レイなら魔法の分野には詳しそうだし、あとで教えてもらおう。
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