体温調節の出来ない3人組


 防寒対策をしなければいけなくなったので、翌日俺はランとレイ、そしてグレイスの3人を連れてエミルへとやってきた。


「ねぇねぇヒイラギ、ワタシ達を連れてきて何をするの?」


「決まってるだろ。ランにレイにグレイスは一応ドラゴンだ。この前レイと一緒に風呂に入った時にわかったけど、ドラゴンっていうのは自分で体温調節ができないんだろ?」


「う、まぁそうね。」


「否定できないのじゃ。」


「ヒイラギさんがずっとくっついてくれてたら動けるっすよ?」


「それは無理だから、3人はそれぞれ体温が温かい状態を維持できるようにモコモコの服とか、そういうのを買いに行くんだよ。」


 そして以前シアの服を購入した服屋にやってくると、そこでは既に夏物の服の扱いは終わっていて、冬物の温かい服装がずらりと並んでいた。


「よし、じゃあ各々好きな服を買ってきてくれ。試着なんかはあそこでできるみたいだからな。」


「は~い。じゃあ早速探してくるわ~。ほらレイ行くわよ、あなたの服もワタシが選んであげるわ。」


「ワシはそういうのには疎いからの。任せるのじゃ。」


「じゃ、グレイスはこっちな。」


「え、自分はヒイラギさんと一緒でいいっすか?」


「あぁ、だってグレイス用の服はここにずらって並んでるからな。」


 俺の目線の先には、ペット用のモコモコの服がたくさん並んでいる。


「本来のグレイスの体格に合う服は、この後オーダーメイドしてもらうから、今はそのちっちゃくなってるときに着れる服を探そうな。」


「了解っす。」


 そうしていろいろと試着してみたのだが……どうにもグレイスには、この世界のペットとして認識されている動物の服は合わないらしい。どれを着ようにも翼膜が邪魔をしてしまうのだ。


「う~んどれもこれもグレイスには合わないなぁ。」


「翼が邪魔で着れないっすねぇ。」


「切り落とすか?」


「こ、怖いこと言わないでほしいっすよぉ~。」


 こうなると、グレイスの普段着もオーダーメイドだな。まぁこればっかりはしょうがない。必要経費ってやつだ。


「ランたちの方はどうかな。」


 チラリとランとレイの方の様子を眺めてみると、彼女たちはあ~でもない、こ~でもないと服を選ぶのに時間がかかっている様子だ。


「やっぱり女性陣の服選びは時間がかかりそうだな。」


 これは予想の範囲内。気長に待つとしよう。


 その後、2人が服を選んで買ったのはそれから約2時間後のことだった。


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