旅支度①
また旅をすることになってしまってからは、もう目が回るほど忙しくなった。
一先ず、人間の国とエルフの国でも店舗営業をするために物件を買って……リコに社長の業務を引き継いで……カリンにしばらく旅に出るという事を伝えて……。
あとはこれから旅に出るための大きな馬車を買いなおさないといけない。以前の馬車もかなり大きく大人数が乗れるのだが、リリン達が旅に加わった時点で、少し車内が狭く感じていたらしいから……今回もっと大きな馬車を買ってこないと。
そう言うわけで、ドーナとランと一緒に次に乗る馬車を決めるため、馬車を買いに来たのだが……。
「大変申し訳ありませんが、当店にはこれ以上大きな馬車はございません。」
「そうかい、じゃあもっと大きな馬車を売ってる店知らないかい?」
そうドーナが問いかけるが、店員はフルフルと首を横に振った。
「当店よりも品ぞろえの良い馬車のお店は王都にあったのですが、先日の事件で店自体が大きな損害を受けてしまったらしく……。」
「なるほどねぇ。」
「どうする?」
すると悩んだ末にドーナは、一つ違う移動方法での旅を提案した。
「馬車がダメってなると、船で旅をするってのはどうだい?」
「なるほど、船か。それもいいな。」
「でも船だと陸地の方が見て回れないわよね?」
「確かに……。」
「人間の国がダメなら、獣人族の国を回ってみるってのはどうだい?」
「なるほど、それは良い案だな。このまま獣人の国まで行ってみよう。」
馬車のお店を出て、転送の結晶で獣人族の王都へと向かう。そして馬車のお店を探して歩いていると、エノールとばったり出くわした。
「おう!!勇者様達じゃねぇか。そんなにこの辺をきょろきょろ見渡して、何か探しもんかぁ?」
「やぁエノール、実は馬車を売ってるお店を探してるんだ。」
「なるほどな、馬車か……一つ聞いておきてぇが何人乗りぐらいのを探してる?」
「えっと……10人ぐらい乗れる大きなやつを探してる。」
「あぁ~、そんなデケェ馬車になると、一から作らねぇと多分この国にはねぇぞ?」
「まぁまぁ、そんな気はしていたよ。」
「ちなみにこのオレ様に任せてくれりゃあ、7日……いや、5日でお望みの馬車を完成させてみせるぜ?」
「任せてもいいんだな?」
「あぁ、このエノールに任しとけっ!!ただ、材料費はそれなりに掛かるだろうからよ。その辺は準備しといてほしいぜ?」
「わかった。じゃあ5日後……馬車を受け取りに来るよ。できるだけ快適な旅ができるように大きい奴を頼むぞ。お金に糸目はつけないから。」
「おぅ、まかしとけぃ!!」
こうして馬車のことはエノールに任せることになった。5日後の完成が楽しみだな。
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