第1回家族会議
その後師匠のことを探して歩いたが、エルフの国中を探しても彼女のことを見つけることはできず、日が落ちて屋敷に帰ってくると、リビングに師匠を含めた全員が待機していた。
「み、みんなただいま。お、お揃いだな……まずはご飯にするか?」
そう提案してみるが、みんなの視線からは
「は、はい。」
その圧に負けてドーナとランの間に座ると、師匠が第一声をあげた。
「さて、今回の主役が来たところで、第1回家族会議を始めようと思う。」
師匠の言葉に俺以外の一同はこくんと頷いた。
「今回の議題に入る前に確認しておきたいことがあるんだが……どうやら私が合流する前はドーナ達はいろいろなところを巡って旅をしていたらしいな。それは間違いないか?」
「間違いないよ。」
「えぇ、間違いないわ。」
師匠の問いかけにドーナとランが一呼吸もおかずに頷いた。膝の上に座っているシアとグレイスも頷いていた。
「ん、間違いないようだな。ではそれを踏まえたうえで私から一つ提案がある。」
師匠はテーブルに両手を置くと、本題を切り出した。
「死の女神も今すぐに動きを見せることはできない。そしてこのエルフの国で会社を建てたヒイラギも近頃は自分の仕事が無いとひ~ひ~言っている状況だ。そこで、今度はこの世界中にある美味しいものなどを求めて旅をすることを私は提案する。」
「「「おぉ~。」」」
師匠の提案にみんながそんな声をあげた。シアやメリッサに至っては、きらきらと目を輝かせてしまっている。この2人の賛成票が入ることは間違いないだろう。
「では今から多数決を取って提案の採決を判断しようと思う。私の提案に賛成の者は挙手をしてくれ。」
すると、シアとメリッサ、グレイスが真っ先に手を挙げ、それに続きドーナ、ラン、レイ、イリスが手を挙げ、フレイが手を挙げると、彼女に合わせるようにリリンとライラも手を挙げた。
もちろん今回の議題の提案者である師匠もしれっと手を挙げている。
「さ、どうやら挙手している者は多数の様だが……柊はどうする?」
「こうなっちゃったら運命は決まってるようなものじゃないですか。」
そして俺が手を挙げると、師匠はパンパンと手を叩いて今回の議題を締めくくった。
「では賛成多数という事で今回の議題は可決で締めくくらせてもらう。各々旅に備えて準備しておくように……では夕飯にしよう!!」
「「「お~っ!!」」」
かくして、再びこの世界中を旅して回ることが決定してしまったのだった。
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