イリスの神気補給


 いざ本格的にみんな各々が好きなものを食べるバーベキューが始まると、自分で釣った魚に舌鼓を打ったり、それを肴にお酒を楽しんだりしていた。


 そんな中、俺のそばにぴっとりとくっついて、離れない人が約1名……。


「うふふ、やっぱりこうやって神気を分けてもらうのが一番効率がいいですね。」


 俺の体にぴっとりとくっついて神気を吸収しているのはイリスだ。これが彼女のやってほしいこと……俺からの神気の補給だ。


「ちなみに一つ聞いておきたいんだけど、神華樹の果実を食べるのと、俺にくっついて神気を補給するのとでは、どっちの方が効率がいいんだ?」


「効率的な話であれば、神華樹の果実を食べた方が圧倒的に効率がいいですよ。でも、あちらは有限ですし、本当に使いたいときに無いと、皆さんが困ってしまいますから、あまりそちらは使わないように最近気を付けているんです。」


「なるほどな。」


 そう納得していると、イリスはぱっと俺から離れた。


「ありがとうございましたヒイラギさん。」


「ん?もういいのか?」


「はいっ、これ以上ヒイラギさんから頂いてしまうと……ヒイラギさんが無気力状態になってしまいますから。」


「え!?」


 まさかと思いステータスを開いてみると、神気の残量が残り1%となっていた。


「い、今ちょっとくっついていただけでこんなに持っていかれたのか。」


「ふふふ、デミゴッドと女神の神気の量を比べてはいけませんよ?これでも私は相当な量の神気を体に宿しているんですから。大体ヒイラギさんの3倍ほどでしょうか。」


「さすがは女神だな。」


「さてとっ、そろそろ私もバーベキューを楽しみますよ~っ!!」


 みんなに混ざるように、イリスも網の上で焼かれている肉や魚を頬張っていく。するとイリスが離れていったのを見計らって師匠がこちらに歩み寄ってきた。


「懐かしいな柊。こんな風にバーベキューを花火大会の時にやっていたのを覚えているか?」


「もちろん覚えてますよ。毎回ビールを一本飲んだだけで酔いつぶれた師匠を、家まで送るの大変だったんですから。」


「っ、そ、それは言わない約束だろう。」


「でも師匠はこっちの世界に来てから意外と飲めるようになりましたね?」


「あぁ、どういうわけかはわからんが、ビール一杯程度では何も感じなくなったな。」


 そう言って師匠は野菜や肉などを刺していたバーベキュー串を頬張って、それを一気にビールで流し込んだ。


「くっはぁ~、最高だ……酒が飲めるというのは素晴らしいな。柊は飲まないのか?」


「俺は誰かがつぶれたときに介抱しないといけないので、このままバーベキューを楽しみますよ。」


「む、そうか。ではまた今度だな。」


 そうしてみんなでバーベキューを楽しんだ後、俺たちはエルフの国の屋敷へと戻るのだった。


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