収穫祭…閉幕


 エルフの収穫祭もだんだん終わりに近づくと、舞台の周りでお酒を飲んでいたエルフたちが少しずつ家に帰り始めた。その光景を見て、カリンも自分の酒を飲み干して立ち上がった。


「んっ、いろいろと騒動はあったが今年の祭りも閉幕を迎えられたな。」


「来年もこのお祭り、楽しみにしてますよ。」


「あぁ……流石に来年はあの衣装は別なものに変えねばな。マドゥがこの祭りを嫌いになってしまうやもしれん。」


「はは、そうですね。」


「では社長、そろそろマドゥが寝る時間だ。此方はこの辺で失礼するぞ。明日も我が子らのこと……よろしく頼む。」


「はい、お疲れさまでした。」


 そしてカリンは他のエルフたちに可愛がられていたマドゥを連れて屋敷へと戻っていく。すると、俺の隣の席が空いたのを見計らって、ドーナとランがこちらに飛び込んできた。


「ヒイラギぃ~、一緒に飲もうよぉ~。」


「そうよ、今までワタシ達に構ってなかった分、ここで構いなさ~い!!」


「ふ、2人とも、ちょっと飲みすぎてるんじゃないか?酒臭いぞ?」


「そんなことないわよぉ~。ねぇドーナ?」


「まだまだこのぐらい全然大丈夫だよ?」


「そう言ってる割にはずいぶん顔が赤いぞ。」


 そうして明らかに酔っぱらっている2人を相手していると、数分もすれば2人はお互いに寄り添って寝息を立て始めていた。


「最近、忙しくて構ってあげれなかったな。ごめんな。」


 ぽんぽんと2人の頭を撫でてから、俺も屋敷へとみんなを連れて帰るのだった。







 翌朝、お酒がまだ残っているらしいドーナ達に消化の良い朝食を作ってから、ハリーノたちと待ち合わせている場所へと向かった。


「おはようみんな。」


「「「おはようございま~す!!」」」


「ん、みんな元気だな。それじゃあ今日は昨日話した通り、エミルって街で営業をするぞ。この転送の結晶はハリーノに預けておくな。」


「わかりましたぁ~。無くさないように気を付けます~。」


「よし、じゃあハリーノ、それを使って早速エミルに飛んでくれ。」


「了解しましたぁ~、それじゃあ行きま~す!!」


 ハリーノが結晶に魔力を込めると、俺達は結晶から溢れた光に包まれる。エミルに着いた後は、バフォメットとミースに話をつけなくちゃな。


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