伝統衣装
舞台の上に現れたカリンは、必要最低限の面積の下着で大事な部分を隠し、光が当たると透けてしまうような薄い羽衣を身にまとっていた。
「おぉぅ……な、なんて格好してるんだ。」
「あれがこのお祭りの巫女衣装なんですよ。私も詳しくは知らないのですが、カリン様が考えたものではないそうです。」
「そ、そうなのか。」
「一応はそういう事らしいです。っと、それでは私は踊りに参加してきますね。」
「あ、あぁ。」
御面を顔に被ると、フィースタは舞台の方へと歩いて行き、カリンの独特の踊りに合わせて踊り始めた。するとどんどん周りのエルフたちも舞台の周りで踊りに参加していく。
一先ず客足も止まったので、フィースタからもらった御面を持って、エルフたちの踊りを見学しているみんなのところへと向かった。
「な、なんて格好してるんだいカリンは……あんなの裸と一緒だよ。」
「こ、こんな不思議なお祭りもあるのね。」
祭りの様相に驚いて固まっている面々のところに歩み寄ると、シア達がこちらに駆け寄ってきた。
「お兄さん、マドゥ君のお母さん何してるの~?」
「はだかでおどってる。」
「2人とも、あんまり直視しちゃダメだぞ。ちょっとあれは刺激が強いからな。ほらこれを被って。」
シアとメリッサの2人に、フィースタからもらった御面を手渡すと、不思議そうにしながらもそれを被った。
「さ、ドーナ達の分もあるぞ。」
「これは何に使うのかしら?」
「なんでも、それを顔につけて、舞台の前で踊るらしい。」
「へぇ、そうなのね。じゃあ着けてみようかしら。ドーナ、シア達を連れて一緒に行きましょ?」
「いいけど、な、なんかちょっと恥ずかしいねぇ。」
「ワタシたちが恥ずかしがる必要なんてないじゃない。こういうのって楽しむものなんでしょ?」
「ま、まぁ祭りは楽しんだ者勝ちだけど……。」
「じゃあ行きましょ、ヒイラギもあとから来てよね?」
「あぁ。」
そして御面を着けたドーナ達はエルフたちに混ざって見よう見まねで踊り始めた。みんなが躍りに行ってしまった中で、マドゥは一人自分の母親であるカリンが、あんな姿で踊りを踊っているのを直視できず顔を覆ってしまっていた。
「マドゥは行かないか?」
「は、恥ずかしくて動けないよぉ。」
どうしたものかなと悩んでいると、こちらにユリが駆け寄ってきた。
「大丈夫だぞマドゥ。この御面を着ければ母上の痴態は見なくて済むからな。」
「ユリお姉ちゃん……。」
「ほら、一緒に行こう。」
「う、うん。」
ユリが来たおかげで安心したのか、マドゥは眼の部分の穴が小さい御面を着けて踊りに混ざりに行った。
「じゃあ俺も混ざってくるかな。」
フィースタからもらった御面を着けて、俺も舞台の周りで踊りに混ざるのだった。
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