ギルドの前の人だかり
カリンとの連絡の内容をエートリヒに伝えると、彼は一先ずエルフの国に危険が無いことにホッと胸をなでおろしていた。
「エルフの国に危険が無いことは何より……だが、そのナルダという死の女神の幹部が急死したのは気にかかる。」
「それについては、俺が詳しいことをカリンから聞いてきますよ」
「あぁ、お願いしよう。私もこの女についての情報提供を国中に要請しておく。……まだまだ謎は多いが、今日のところはこの辺で切り上げておこう。貴公もエルフの国へ帰らねばならないのだろう?」
「そうですね。」
「後程、今回の貴公の働きに対する褒賞についてまた話し合おう。だが、それも城の修繕が終わってからだな。」
「はい、全部片付いてから、そういう話はしましょう。」
そしてエートリヒと別れた後、俺は一度エミルの街へと戻ってみることにした。王都の勇者の墓というダンジョンから魔物が溢れてきてしまったから、こちらももしかすると……と思ったのだ。
転送の結晶を使ってエミルの街に飛んでみると、特に普段と変わりはなく、普通に人が道を行き交っていた。
「こっちは特に騒ぎにはなってなさそうだな。まぁとにかくギルドに行ってみよう。」
ギルドの方に向かってみると、そこには人だかりができていた。
「これは何の人だかりなんだ?」
そう疑問に思いながらも、人だかりをかき分けてギルドの中に入ってみた……。そして中の光景を見て人だかりができていた理由を理解する。
「なるほどな、外の人だかりはそういう事だったのか。」
「むっ?」
俺の目の前では、バフォメットが大量の料理を腹に詰め込んでいたのだ。それに興味津々で、外に人が集まってきていたらしい。
「なんだ、ヒイラギか。一緒に飯でもどうだ?」
「じゃご一緒させてもらおうかな。」
バフォメットの横に座って、俺も適当な料理を注文すると、唐突にバフォメットが一つグラスを用意して、そこに酒を注いできた。
「今日は我が酒をおごってやるぞヒイラギ。」
「ありがとな。その様子だとミースからちゃんと給料をもらったみたいだな。」
「あぁ、地上で使える金をしっかりと受け取ったぞ。それを使ってこうして飯を食っているのだ。」
「その当人のミースはどこに行ったんだ?」
「ミースならば先程王都から書状が来たと言って、二階に行ってしまったぞ。」
「そっか。じゃあもうそろそろ戻ってくるかな。」
バフォメットと酒を飲みながら、ミースが下りてくるのを待っていると、間もなくして一羽の鳥を抱えたミースが二階から降りてきた。
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