掃討戦


 ダンジョンの外に出てみると、すでに大半の魔物が連携を取り戻した兵士たちによって倒されていた。しかし、強い魔物には手こずっているらしい。


「うっし、あともうひと頑張りだな。」


 そこから王都に残ってる魔物を兵士と協力して倒していき、一、二時間ほどで王都に蔓延っていた魔物を全て討伐することができた。


 瓦礫の上に座って一つ大きく息を吐き出していると、こちらにキースが歩いてきた。


「協力ありがとうございましたヒイラギさん。」


「いいんだ。……それより被害はどんな感じだ?」


「確認できている範囲ですが、兵士3人、民間人は12人の死亡が確認できました。負傷者の数は数えきれません。」


 少し表情を曇らせながらキースは答えた。


「そうか、もう少し俺が戻って来るのが早かったら……。」


「ヒイラギさんが気に病むことではありません。今回は不測の事態でしたし、我々だけでは対処ができなかったことにも原因があります。それにヒイラギさんが強い魔物を対処してくれなければ、もっと被害が大きかったのは間違いありません。」


「そうかな。」


 一つ大きく息を吐き出しながら上を見上げると、空はすっかり真っ黒になっていていくつか星が輝いていた。


「いつの間にか夜か。ここに来たときは夕方だったんだけどな。」


 みんなはちゃんとご飯を食べてるかな。ドーナもランもイリスもいるし、食事を作れる人はそろってるから大丈夫だとは思うけど。


「そういえば、ある時からピタッと魔物が増えなくなりましたが、それもヒイラギさんが何かやってくれたのですか?」


「ん、あぁ。原因はあの大穴の下にあったダンジョンの異変だったんだ。一応ダンジョンを攻略したら、異変が収まって、魔物もダンジョンの外に出なくなったよ。」


 そうキースに教えてやると、彼はとても驚いた表情を浮かべていた。


「こ、この王都の地下にあるダンジョンは……ゆ、勇者の墓だけです。そ、それを攻略したのですか!?」


「一応な。証明になるかわからないけど、ダンジョンの管理者からご褒美ももらってきたぞ。」


 俺はマキナから受け取ったリモコンのような機械を取り出してキースに見せた。


「これは何に使うのでしょうか……。数字が0~100まで書いてありますが。」


「多分ダンジョンの中の階層を自由に移動できる何かなんだろうな。ちゃんとしたご褒美が欲しかったら、もう一回それを使って会いに来いって言われたよ。」


「そ、そうなんですか。まさか王都にあふれた魔物の原因を突き止めるために、勇者の墓まで攻略してしまうとは……とんでもないことをやってのけましたね。こちらはお返しします。」


「ありがとう。」


 さぁてと、異変も収まったなら俺は一回帰ろうかな。向こうの様子も気になるし……。


 そして帰ろうとして立ち上がると、暗い道を照らしながら大量の兵士に護衛されたエートリヒが歩いてきた。


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