マキナからのご褒美


 一先ず魔物の発生源は食い止めたから、今度はまたここから出て、外に出て行ってしまった魔物を殲滅しないとな……まだやることがたくさんだ。


「それじゃあマキナ、俺は外に出て行っちゃった魔物を倒さないといけないから帰るよ。」


「ま、待ってくださいヒイラギ。あなたに渡さなければいけないものがあります。」


「渡さなきゃいけないもの?」


「はい。こんな事情があったとはいえ、あなたは99層のケルベロスを倒し、実質このダンジョンを攻略したと私は判断しました。」


「はぁ……。」


「なので、あなたにはこちらをお渡しします。」


 そう言ってマキナは両手を広げた。


「……その、渡すものっていうのは?」


「あぁ、お話していませんでしたね。このダンジョンを初めて攻略した者に送られるご褒美のことを。」


 マキナはくつくつと笑いながら、このダンジョンを攻略した者に送られる報酬について高らかに語り始めた。


「このダンジョンの初回攻略者に送られるご褒美……それは、このをその手に……。」


「いらん。早く俺を地上に帰らせてくれ。」


「なんでですかっ!?このダンジョンの管理者である私を手に入れられるんですよ!?」


「ダンジョンの管理者なら、ずっとこのダンジョンを管理しててくれ。」


「う~……じゃあ何をもらったら嬉しいんですかっ。お金ですか?それとも強い装備ですか?」


「う~ん、今はどっちもいらないんだよなぁ。」


「どうして人間なのにそんなに無欲なんですかっ!?普通人間ってもっと強欲なものではないのですか!?」


 緑色の瞳に大量に?のマークを浮かべるマキナに、報酬をもらう代わりにあることをお願いすることにした。


「マキナ、ご褒美とかはいらないから、俺を地上に送ってくれ。それだけでいい。」


「私を手に入れなかったこと、後悔しても知りませんからねっ!!」


 むす~っと不機嫌になりながらも、マキナは地上階のボタンを押した。すると、また景色が変わりこのダンジョンの入り口まで戻ってこれた。


「はい、これでいいですか?」


「あぁ、ありがとう。助かったよ。」


「いいえ、大丈夫です。それと、これだけは渡しておきます。無くさないように気を付けてください。」


 そしてマキナが手渡してきたのは、リモコンのような小さなボタンのたくさんついた機械だった。


「もし気が変わって私を手に入れたくなったら、それを使って会いに来てください。わかりましたね?」


「わかったわかった、ありがとな。」


 それを受け取り、マキナに別れを告げてから俺はダンジョンの外へと飛び出した。

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