マキナの権限完全復活…だが?
龍桜を使って一気にケルベロスへと向かって突っ込むと、その迎撃に三つの首からブレスが飛んでくる。この龍化した肉体の防御力なら、このブレスの中を突っ切っても問題ないはずだ。
そしてブレスを突っ切って、最短距離でケルベロスの懐に潜り込むと奴の前足を一本、回し蹴りで切り落とした。
「次っ!!」
奴に反撃を許さないまま、もう片方の前足も切断した後、崩れ落ちるケルベロスの腹の下から抜け出し、体の上に飛び乗った。
「終わりだ。」
右手にサンダーブレスを集中させ、背中からケルベロスの体を貫くと、ケルベロスの体全体にサンダーブレスが流れ、体内から焼き尽くした。そしてすっかり黒焦げになってしまったケルベロスから手を引っこ抜くと、奴の体はサラサラと灰になって崩れ落ちてしまった。
「良し、ケルベロスは倒した……問題はこの煙だな。」
ケルベロスは倒しても、この空間にはまだ大量の紫色の煙が残っている。この煙は俺の薬物耐性が即発動するぐらい凶悪な何かなのは間違いない。
「どうするかなこれは……。」
「何を悩んでいるのですかヒイラギ。」
「のわっ!?ま、マキナ!?ここはまだ危ないぞ。」
いつの間にやら俺の背後にマキナが立っていたのだ。
「おかしなことを言いますね。もうすでにケルベロスは倒してしまったでしょう?」
「い、いやそれはそうなんだけど。この煙がヤバいんだよ!!」
「それなら問題ありません。私にはこの毒素は効きませんので。」
「どういう事?」
「この毒素は解析した結果、呼吸し体内に取り込んだ場合、狂乱状態になってしまうもののようです。つまり、呼吸器官を有しない私には何の問題もないという事なのですよ。」
そうドヤ顔を決めながら、マキナは言い放った。
「まぁ、マキナが大丈夫ならそれでいいんだけど。……ほんで権限は元に戻ったか?」
「はい、ヒイラギのおかげで権限のすべてが私の手に返ってきました。これを使えば、この毒煙もこんな風に……。」
マキナが画面を操作すると、ここに充満していた紫色の煙がぱっと消えてしまう。
「ダンジョンの外から持ち込まれたものなので、私の権限で消すことが可能です。」
「じゃあそれを使ってダンジョンの外に出て行ってしまった魔物を消してくれ。」
そうお願いすると、マキナは申し訳なさそうにしながら俺から目をそらした。
「じ、実はダンジョンの外に出てしまった魔物は既に私の管理下を離れてしまっているので……どうすることも。」
「で、できないのか?」
「できません。」
で、できないものは仕方がないか。まぁ外に湧き出る魔物を防ぐことができただけ良しだな。外に出てしまった魔物は兵士たちと協力して何とかしよう。
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