vsケルベロス
起き上がって早々、ケルベロスはその三ツ首からそれぞれ違う種類のブレスを吐き出してきた。
「3つ首があると、そういう事もできるのか。」
感心しながら、ケルベロスのブレスを前に進みながら躱していく。すると、間合いに入る一歩手前で奴の動きが変わった。
「ん?」
さっきまでそれぞれ違うブレスを異なる方向へと放っていた3つの首……それが各々のブレスを一つに集束させ、俺の目の前の地面を穿った。
直後、ブレスが穿った地面が大きく盛り上がり、周りの地面のいたるところからケルベロスのブレスが噴出して来たのだ。
「これは……避けにくいな。」
これだとブレスが飛び出してくる場所がまったく予想ができない。しかも目の前の盛り上がってる地面が今にも大爆発を起こしそうだ。
「動くのは危険だけど、爆発に巻き込まれる方がよっぽどダメージが大きそうだ。」
そう判断して、俺はその場から一気に距離をとることを選択した。すると、俺がバックステップで下がっていた真後ろの地面からブレスが噴出してくる。
(これは躱せないか。)
自分から突っ込む形でブレスの中に入ると、炎の熱と雷による体の痺れ、そして切れ味の鋭い風によって体が斬られる感覚に襲われた。
「ぐっ、この感覚……ナルダの魔法に包まれたときに似てる。最悪の気分だ。」
痛みに耐えながら顔をあげると、目の前にいつの間にかケルベロスが迫っていて、凶悪な爪が振り下ろされようとしていた。
「速いなっ。」
その爪による一撃をかろうじて転がりながら躱すと、爪が振り下ろされた直線状に大きな斬撃の痕が残った。
「ブレスも吐いて、斬撃も飛ばせて……技が多彩だな。流石99層の魔物って感じだ。」
それに加えて、この闘技場全体に蔓延しつつあるこの紫色の煙……これに近づいた瞬間、俺の薬物耐性が自動的に有効化された。だから恐らくは何かヤバいことを引き起こしてしまう煙なのだろう。
多分あの女の狙いとしては、この煙を俺に吸わせて何かしたかったのだろうが……その作戦は失敗に終わったらしい。
「ふぅ~……本当ならもう少し、お前の全力を見るまで戦っていたかったんだけど、マキナがこの煙りを吸ってしまったら何が起こるかわからないからな。早急に決着をつけさせてもらう。」
龍桜を使って身体能力を極限まで引き上げた後、両手足にサンダーブレスを纏わせてケルベロスへと向かって一気に突っ込んだ。
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