権限復活
目を手で覆い隠しているマキナの所へと歩み寄り、さっきのワイバーンから取り出した宝玉を差し出した。
「マキナ、これを食べてくれないか?」
「ひへっ!?な、なな、なんですかそれは。」
「俺のスキルで作られたワイバーンの宝玉だ。これにさっきのワイバーンの全てが詰まってる。」
「す、全て?」
「あぁ、恐らくはこれの中にマキナの権限ってやつも入ってるんじゃないかな。」
「それは食べる以外に何か別な方法は……。」
「今のところ無い。」
「うぅ、そうですよね。」
少し嫌悪感の浮かんだ表情で、マキナは俺の手から宝玉を受け取った。
「…………あぐっ。」
少しの間をおいて、意を決したらしいマキナは勢い良く宝玉にかぶりついた。
「味はどうだ?」
「不覚ながら、私の味覚器官はこれを美味しいと認識してしまっているようです。」
「なら良かった。」
頬を膨らませながら、マキナは宝玉を完食すると、パチっと目を大きく開いた。
「一部権限の復旧を確認……それと同時に身体能力の大幅な強化も確認されました。」
「おっ、やっぱりその方法で権限が戻ったか。」
「はい。戻った権限を使い、魔物の生産を中止します。」
マキナの深緑色の瞳が翡翠色に色が変わった。そして目の前に現れた、何かの画面を操作していく。
「ダンジョンの操作完了。これでもう魔物が増えることはありません。」
「助かったよ。」
「いえ、これは放っておくと、ダンジョンの存在そのものが危うくなりますので、私の為でもあります。」
そう淡々と言ったマキナは、クルリとこちらに背を向けると、また階層を移動する機械のところへと戻っていく。
「ヒイラギ、次はどの階層へ向かいますか?」
「あと残ってるのは?」
「67層、77層、89層、91層……そして99層です。」
「面倒なのから先に潰したい気持ちはあるけど、宝玉は強ければ強いやつほどドロップしてくれるからな……となれば、まずは落ちにくそうな67層のやつから行くか。」
それにしても、99層の魔物も倒すってことは、実質このダンジョンをクリアしなきゃいけないって事と同じだよな。
いったい何がでてくるんだろうな。楽しみでもあるけど、どちらかと言えば倒せるか少し不安だ。
「わかりました。では移動します。」
待ち受ける99層に少し不安を抱きながらも、俺はマキナと共に67層へと向かうのだった。
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