ダンジョン管理人マキナ
一先ずマキナに協力することを決めたあと、俺は具体的に何をすれば良いのか、マキナに問いかけた。
「協力はするけど……ダンジョンの権限を取り戻すって、具体的に何をすれば良いんだ?」
「私の権限を奪った何者かは、その権限を悪用して本来このダンジョンにはいない、強い魔物を生み出しました。その魔物に権限を託しているようです。」
「話は読めたぞ、つまりその魔物を倒せば良いってわけだ。」
「いえ、そうではありません。」
話が読めたと思ったら、きっぱり違うと言われてしまった。
「違うのかい。」
「本来ならばそれで私に権限が戻ってくるのですが、そこも弄くり回されていて、権限は持ち主を倒してしまうと、私ではない何者かへと渡ってしまうように書き換えられてしまっているんです。」
「じゃあどうすれば良いんだ?」
「………………わかりません。」
「はい!?」
「だから、わからないんです。私もどうすれば良いのかっ。こんな事態が起こるなんて聞いてません。」
さっきまで感情を感じなかったのに、今は少しムスッとした感情を言葉から感じる。
「とにかく、何かしてください。」
「おぉぃ、ずいぶんだなぁ。」
いやはや、弱ったなぁ。何も手がかりもないし……何から始めれば良いんだろう。マキナも子供みたいに不貞腐れて、ムス〜ッとしてそっぽ向いちゃってるし。
「ん〜……ま、一回その権限を持ってる魔物を倒してみるか。何もしないよりマシだろ。それに倒してみれば、権限を取り戻す方法も何か思いつくんじゃないか?」
「……わかりました。」
「ちなみにマキナに戦闘能力は?」
「ありません。」
「あ、はい。」
「なんですか、そのはいはいわかってましたよって感じの返答はっ。」
「だって、もともとはこのダンジョンの管理人なわけだし、てっきり手伝ってくれるのかなぁって思ってたからさ。」
「そもそも私は戦闘目的で作られた存在じゃないんですよ。本当にこのダンジョンの管理だけがお仕事だったんですから。」
「……じゃあこのダンジョンのボスって別にいるのか?」
ダンジョンにはバフォメットみたいなボスがいるもんだと、俺の中の認識があって……てっきりそれがこのマキナだと思っていたんだが……。
「このダンジョンにはボスはいません。先述したように、もともとここは100階層からなるダンジョンで、その一階一階に挑戦者の行く手を阻む魔物がいるだけだったんです。本来ここに挑戦者が到達したら、私がこのダンジョンの宝を渡すっていう手筈だったんですよ。」
「なるほどな。」
このダンジョンと、マキナのことが分かったところで……じゃあその権限を持ってるとかいう魔物に会いに行ってみようか。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます