挑戦者
湧いてくる魔物を倒しながら、巨大な門の中へと入るとどこからか声が聞こえてきた。
『挑戦者の入場を確認。場内の再構築を始めます。』
「ん?」
そんな声に疑問を抱いていたのも束の間、俺が立っている場所……そして目の前に大量に犇めいていた魔物が、小さな四角い粒子と変貌してしまったのだ。
「これは、何が起こって……。」
突然俺以外の全てが四角い粒子となってしまったことに驚いていると、一度バラバラになった四角い粒子が再びまとまり、何かを作り上げていく。
状況を理解できないまま、立ちつくしていると、俺はいつの間にか作り上げられた巨大な闘技場の中心に立たされていたのだ。
「ここは闘技場……なのか?」
そんな疑問を口にすると、僅かに残っていた四角い粒子が、俺の目の前で人の形を象った。直後、パン……と何かが弾ける音とともに、四角い粒子の中から一人の人間のような何かが姿を現したのだ。
「っ、だ、誰だ?」
警戒を強めながら、そのところどころが機械のような人間に問いかけると、そいつはゆっくりと深緑色の感情のない瞳を開き、こちらを見た。
「こんにちは、挑戦者。私はこのダンジョンの管理者
その声は、先ほど突然響いてきた声と同じものだった。
「ダンジョン?ここはダンジョンの中なのか?」
「肯定します。
「ひゃ、100!?」
「はい。」
「そ、そんなに階層があるとは……攻略に何日かかるんだよ。」
「不明です。今までこのダンジョンに踏み込んだ者は、あなた以外にいませんので。……ですがご安心ください。ここは既に
マキナが伝えてきたその事実に俺は思わずポカン……と思考がフリーズしてしまう。
「ん?それは……ど、どういうことなんだ?」
「挑戦者、あなたをここに直接招待したのには理由があります。」
「理由?」
「はい。実は私が挑戦者を待って眠っている間に、このダンジョンの権限が他の何者かに奪われてしまいました。それを取り戻してほしいのです。」
「権限が奪われた?……じゃあ、どうして俺をここに招待したりできるんだ?」
「私が持つ最後の権限……ダンジョンの再構築を使用しました。しかし、それ以外のほとんどの権限を奪われてしまっているので、あなたをここに招待するのが精一杯でした。」
「よくわからんが、一先ずわかったことにしておこう。話が進まないからな。……で、そのダンジョンの権限を取り戻せば、魔物がダンジョンの外に溢れ出るのは止められるのか?」
「はい、可能です。」
「わかった。じゃあ協力しよう。」
現状魔物がダンジョンの外に出てくる現象を止めるには、このマキナに協力するのが最も早そうだ。
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