ミルタ商会獣人国支店再び


 今度俺が足を運んだのは、獣人族の国にあるミルタさんのお店だ。幸いなことに、今日はミルタさんがこちらにいたようで、話を聞いてくれることになった。


「本日は、いかが致しましたかな?」


「実は新しく店舗営業を始めるんですけど、そこに置く調理器具とか、商品棚みたいなやつが欲しいんです。」


「なるほど、そういうことでしたらお任せください。」


 するとミルタさんは、本棚から分厚いカタログを引っ張り出してきて、俺に見せてくれた。


「最近提携したお店から頂いたものなのですが、業務用の器具をたくさん取り揃えているお店でして、ヒイラギさんの目に留まる物があれば……。」


「見せてもらいますね。」


 分厚いカタログを受け取って、ページをめくって必要そうな物を探す。すると、ガラス張りのショーケースのようなものを発見する。


「あ、これ欲しいですね。」


「ガラス張りの商品棚ですね。いくつほどご所望ですか?」


「これを3つください。」


「わかりました。発注しておきます。」


「あと、この氷の魔石が埋め込まれた食材保管庫も3つ。」


 そしてどんどん必要な物を頼んでいる最中、エルフの国と、人間の国での店舗営業の事をすっかり忘れていたことに気が付く。


「あ、ミルタさんさっきお願いした物……全部3倍の数発注してくれます?」


「さ、3倍のですかな?」


「はい、エルフの国と人間の国での店舗営業も考えてるので、その時に使います。」


「わかりました……。これは大きな取引になりますぞ。」


 そしてひとまずの発注を終えたところで、気になる金額の方を聞いてみた。


「全部でいくらぐらいになりました?」


「総計白金貨6枚と金貨が35枚ですな。この金貨の分は弾いておきますので……白金貨6枚でいかがですかな?」


「わかりました。じゃあこれでお願いします。」


 俺はミルタさんに白金貨を6枚差し出した。


「確かに頂きました。商品の発送はどうしますか?」


「全て用意でき次第、ここに運んでください。」


 ミルタさんに先程買った物件の住所が書かれた紙を手渡す。


「承りました。では後日まとめて発送します。」


「お願いします。」


 必要な物を全て発注してもらった後、俺はその足でまた別の場所へと足を運ぶのだった。

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