グリフォンの肉の味は如何に
やっと仕事に関しての訪問が終わったところで、俺は一人魔物肉専門店を目指して歩いていた。
「グリフォンの解体は終わってるかな。」
今思い返せば、剥製にしてもらっているけど……飾るスペースがないな。今日買ったあの物件の中になら入りそうだが、あそこはお菓子屋兼豆腐屋にするつもりだし、雰囲気に合わない。
「せっかくならミースにあげようかな。ギルドに飾るんだったら雰囲気にもあってるだろうし。」
そんなことを考えながら、魔物肉専門店の扉をくぐると今日はジルではない他の従業員が出迎えてくれた。
「ヒイラギ様、いらっしゃいませ。店長は解体場におりますので、ご案内いたします。」
「うん、お願いする。」
彼に案内されて、魔物肉専門店が所有する解体場に辿り着くと、そこでは解体を担当していたベルグ達とこのお店の店主であるジル……そしてグリズ達がグリフォンの剥製を仕上げている作業を真剣になってミースとシンが眺めていた。
「おぉ、ヒイラギ様ようこそいらっしゃいました。」
「やぁジル。解体の進捗はどんな感じだ?」
「もう肉の摘出は終わっておりますので、あとは骨組みで体を支えるだけで剥製は完成です。」
「ふむふむ、じゃあまだもうちょっとかかるって感じかな。その間にグリフォンから取れた肉を見せてくれないか?」
「かしこまりました。それではこちらへどうぞ。」
ジルに応接室へと案内されると、すぐにさっき俺が入店したときに出迎えてくれた店員が、大きな肉の塊を運び入れてきてくれた。
「こちらがグリフォンから取れたモモ肉になります。」
「見た感じは……鶏肉みたいだが。」
「そうですね。解体を行ったどの部位も鶏肉のような肉質でした。」
「ふむ、味はどうなんだろうな。試しに食べてみるか。」
「私もグリフォンの肉は初めて見ましたが、念のため生食は控えた方が良いかと。」
「あぁわかってる。」
少し肉を切り取って、手からフレイムブレスを出して肉を焼いていく。すると、鶏肉のような見た目に反して、牛肉をカリッと焼いたような香ばしい香りが漂い始めた。
「おぉ?この香りは……。」
「牛の肉を焼いたような香りがしますな。」
そして焼けた肉をジルと半分に分けて、お互いに口に運んだ。
「んっ!?これは……なるほど、ジルの言ってた通りの味だ。噛んでいくと、いろいろな肉の味を確かに感じる。」
「あの文献は真実だったというわけですな。」
これは面白いな。噛むたびに感じる肉の味もランダムで、飽きがこない味わいだ。今日の夜はこの肉を使って夕食を作ろう。
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