お酒の悩み
みんなを運び終わった後、俺とユリは再び宴会をしていた場所へとやってきて、二人でグラスを合わせた。
「ほい乾杯。」
「か、乾杯……。」
「まずは、自分がどの程度酒に強いか、調べたほうがいいからな。かなり弱い酒から試して行こう。」
「わかった。ち、ちなみにこれはどのぐらいなんだ?」
「これはアルコール3%。果物の果汁に少しアルコールを加えたものだな。」
「普段アタシが飲んでる果実酒はどのぐらいなのだろう。」
「あれは多分……100を最大値として考えると、だいたい30ぐらいかな。」
「ということは、これの十倍なのか。」
「そうだな。大体の話だけど、そのぐらいだと思う。ま、一先ずこれぐらいから試していこう。」
俺も彼女と同じ酒をクイッと飲み干した。それに続いてユリもそれを飲んだ。
「んっ、これは……なんというかまったく酒精を感じないな。本当に絞った果汁を飲んでいる感じがする。」
「ま、たったの3%だからな。そんなものだ。で、体に異常は?」
「特に感じない。いつも通りって感じ。」
「そっか、それじゃ十分ぐらい、つまみでも食べながら様子を見てみよう。」
お酒と一緒につまめる、簡単なおつまみを食べながらユリと話して、約十分ほど様子を見てみたが……やはりこのぐらいでは何ともないらしい。
ユリの顔にも体にも何の変化も見られない。
「よし、それじゃあ次。3の倍……6%だな。」
「さっきと同じに見えるぞ社長。」
「うん、ここまでは同じ材料で作ったものだからな。この次からちょっと変わってくる。」
「そ、そうなのか……じゃあ、いただきます。」
またユリが酒を口にすると、何かに気づいたように少し目がパチっと開き、こちらに目を向けてきた。
「今回は少し酒精を感じた……。でもこのぐらいが美味しいかも。」
「となると、ユリの場合あんまり強くないお酒をゆっくり飲むほうが、体に合ってるのかもな。」
それもあっという間にユリは飲み干してしまった。これでもまだ、彼女の体にはこれといって酔っ払っているような症状は見られない。
「ちなみに普段だと、どれぐらいお酒を飲んだら、酔っ払った感覚になる?」
「いつもだと……あれを3杯くらい飲んだら、ちょっと自分が何をしてるのか分からなくなるな。」
「ふむ、まぁそれぐらいなら人並みだな。」
ってことは、ユリ自身はある程度お酒には強いようだから……いよいよただ単にユリの酒癖が悪いってだけの話になってきたな。
そうなると、酔っ払いづらい飲み方ってやつを教えればいいだけだから、割と簡単に解決できるかもな。
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