レインガルーダの仕込み


 試作を終えて、リコにお菓子の材料の発注などを済ませた後で、俺とフレイは獣人の国へと戻った。


「フレイ、今日はありがとな。」


「全然良いよ〜、むしろもっと誘ってくれたら嬉しいかな。」


「次の新作を発売する時もお願いするよ。」


「えへへ、楽しみにしてるね。」


 そして王宮でフレイと別れると、俺は急ぎ足でミルタさんの元へと向かいグリーンマドンナの発注を済ませ、営業をしているエルフ達の元へと走った。


「みんな、お疲れ様。売れ行きはどうだ?」


「あ、社長〜お帰りなさぁい。今日ももうすぐ完売ですよぉ〜。」


 ハリーノ曰く、今日の売れ行きもかなり良いようでもうすぐ仕込んだ分が無くなるらしい。二日目も上々の売れ行きに満足していると、ユリがソワソワしながら新作のお菓子について問いかけてきた。


「しゃ、社長……その〜、新作のお菓子はどうなったんだ?」


「あぁ、ついさっき試作して来たところだ。かなりいい感じの出来だから、営業が終わったらみんなも一度食べてみてほしい。」


 すると、社員のエルフ達は営業を早く終わらせる為に、道を歩いている人々に声をかけに行っていた。彼女達のそんな努力もあって、飛ぶようにお菓子が売れていく。

 そして在庫がもうほとんど無くなった所に最後の客として現れたのは、隣でもう片付けを終わらせたミクモだった。


「残っている菓子を全て貰おうかの。」


「ミクモはもう営業は良いのか?」


「むっふっふ、おかげさまで妾の店も大繁盛でなぁ。今日はもう売るものが無くなったのじゃ。」


 ミクモも上手いこと客の胃袋を掴んだようで、豆腐とおかずを全て売り切ったようだ。


「大繁盛を祝し、今日は妾自身にご褒美を……というわけじゃ。」


「なるほどな。」


 そしてミクモは、最後のどら焼きとフルーツ大福……マンドラアイスクリームを購入してくれた。


「感謝するぞ。」


「こちらこそ。あ、そうだ今から新作のお菓子の試食会をやるんだが……良かったら食べてくか?」


「よいのか!?」


「構わない。」


「やったのじゃ〜!!」


 片付けを終わらせて、みんなにレアチーズケーキを食べてもらうと……。


「頑張った後の甘〜いお菓子……幸せですねぇ〜。」


「う、美味いっ……口の中でとろける時に、舌もとろけてしまっているようだ。」


「身も心も蕩けてしまうのじゃあ〜。」


 頑張った後に食べる甘いお菓子は、暴力的な美味しさだったらしく、みんな一口食べた瞬間にぐで〜んと蕩けてしまっていた。

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