グリフォンの宝玉
グリフォンの解体を見学していると、内臓を処理していたグリズが何かを見つけてこちらに駆け寄ってきた。
「勇者様、グリフォンの中からこんなもんが出てきたぜ。」
グリズが手にしていたのは、翡翠色の丸い宝石のようなものだった。
「ん?これは……グリフォンの宝玉か。」
「なんかサラマンダーから出てきたやつの色違いみてぇな感じだな。」
「まさにその通りだな。これは俺がもらうよ。」
グリフォンの宝玉をグリズから預かって、俺は鑑定を使って中身のスキルを確認してみた。すると、あるものを発見する。
「ん?これは言語理解のスキルも入ってるのか。」
これは良いな。あとでシンにでもあげよう。そろそろ不自由なく会話できるようになりたいだろうからな。エートリヒは、たぶん独学で何とかやりそうだしな。
「ひとまずはバッグにしまっといて大丈夫だな。」
宝玉をマジックバッグにしまい、また解体中のグリフォンに目を向けると、ミースが何やらグリズの弟子の人達と話をしていた。
一見すれば何気ない光景だが、ミースは人間で、話している相手は獣人だ。さっきもジルの言葉を理解できていなかったようだし、どうなってるんだ?
「ミース?」
「あ、どうかしましたかヒイラギさん?」
「いや、さっき普通に話してたみたいだけど……言葉は大丈夫なのか?」
「ふっふっふ~、私を甘く見られては困りますよ。これだけたくさん獣人の方の言葉を聞くことができたので、もう皆さんが何を話しているのか完全に理解できました。」
「……そ、そうか。」
ミースはまぎれもない天才ってやつらしい。この短い時間で、獣人族の言葉を理解してしまったようだ。
「俺とベールはもうそろそろ行くけど、ミースはまだここで見学してるか?」
「はいっ、今日はもうお仕事も全部片づけてあるので、しばらくこれを見ています。」
「わかった。……じゃあ、満足するまで見学したら、この国の王宮に向かってくれ。」
「へ、お、王宮にですか?」
「あぁ、あそこのメイドさんに話をつけておくから。」
「わ、わかりました。」
「うん、それじゃあジル。ミースのことは頼んだよ。」
「お任せください。」
また後日グリフォンを取りに来るとジルに伝えて、俺とウォータードラゴンは魔物肉専門店を後にしたのだった。
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