グリフォンの解体依頼
グリズ達やジルの準備が整ってから、俺はいよいよグリフォンをマジックバッグから取り出した。
「おぉ……。」
「こいつは、グリフォンか!?」
「そ、たまたま人間の国で倒してな。解体してもらおうと思ってたんだ。」
死んでもなお、存在感を放っているグリフォンにジルとグリズは目を丸くしていた。
「よもや、サラマンダーに続き魔獣グリフォンまで、この目に焼き付けることができるとは……。私、感動でございます。」
すっかり感極まってしまい、ボロボロと大粒の涙を流しているジル。彼が落ち着くまでの間に、グリズが俺に解体後の事について問いかけてきた。
「と、ところでよぉ……解体するって言ってもコイツをオレ達はどうしたらいい?やっぱり食ってみるのか?」
「そもそもこのグリフォンは食べれるのか?美味しいなら是非とも食べてみたいが……。」
「あ〜、それについてはジルさんがもしかすると知ってるかもしれねぇ。」
そしてグリズは、ジルの肩をポンポンと叩きながら、グリフォンの肉の味について聞いてくれた。
「なぁジルさん、このグリフォンってやつは……美味いのか?」
そうグリズが問いかけると、ハッとジルは我に返り、すぐに手にしていたハンカチで目元を拭い、少し上ずった声で答えた。
「グリフォンの肉は様々な獣の肉の良いところを集めた味……と古い文献で読んだことがあります。」
「だってよ勇者様。」
「本当は剥製にでもしたかったけど……その肉の味は気になるな。」
「おおっと、剥製を諦めることはねぇぜ?オレ達に任してもらえりゃあ、肉も取って、その上で剥製も作ってみせるぜ!!」
グリズとその弟子の人達は、任せろと言わんばかりに腕まくりをして、筋肉が盛り上がった二の腕をパンパンと叩いている。
「そこまで言ってくれるなら、任せるよ。」
「おぅとも!!そうと決まれば早速作業に取り掛かるぜ!!」
そしてグリズ達は、グリフォンの解体及び剥製製作を始めてくれた。その作業を邪魔しないように、ミースが目を輝かせながらグリフォンの記録を取っていた。
「こ、これはきっとこの世界に残り続ける記録になりますよぉ〜!!」
そんな熱心な姿を見せているミースを見て、ジルがにこやかに微笑んだ。
「あの人間のお方も、私と同じ感性をお持ちのようですな。」
「そうかもな。」
そんな事をジルと話していると、不意にウォータードラゴンがジルにあることを問いかけた。
「あのぉ〜、さっきのレインガルーダって一匹いくらで売ってくれますかぁ?」
「先程のレインガルーダでございますか?」
「はい〜、この人間さんに美味しく料理してもらいたいんですよぉ〜。」
「なるほど、少々お待ちください。」
すっかりレインガルーダの味を気に入ったらしいウォータードラゴンは、ジルに売った60匹の内、実に半数以上のレインガルーダを、有り金全てを注ぎ込んで購入していた。
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