事業拡大計画


 エルフの国に戻ってから、俺は入社希望の社員のエルフたちと面談を行い、翌日の仕込みが終わったところで社員のみんなに集まってもらった。


「みんな、今日も一日営業お疲れ様。今日はみんなに説明することがあるから集まってもらったんだ。」


 俺はボードに今日までの売り上げを記録した紙を張り付ける。


「みんなが頑張ってくれてるおかげで、一日にだいたい白金貨十枚ぐらいの売り上げがある。で、ここからみんなの給料とお菓子の材料費を差し引いても、かなり予算には余裕がある状況だ。」


 この話をすると、社員のみんなが驚きの表情を浮かべながらざわめき始めた。


「い、一日でこんなに売り上げてたんですねぇ~。」


「ね!実際に数字に表してみてみると、すごくビックリ!!」


 アンネやハリーノもこんなに売り上げているとは思っていなかったらしく、とても驚いていた。しかしその中でユリだけは少し不安そうな表情を浮かべているのが目についた。


「で、この余りある売上金を使って、これから事業の拡大をしていこうと思ってる。」


「「「おぉ~……。」」」


 みんなからそんな声が漏れていると、一人アンネが勢い良く手を挙げた。


「はいっ!!ヒイラギ社長、質問があります!!」


「何かな?」


「その事業の拡大って具体的に何をするんですか?」


「良い質問だ。まず真っ先に取り掛かりたいのは、営業環境の改善。今は出店みたいな感じでやってるけど、今後はしっかりとした店舗で販売と営業をしようと思ってる。」


 今のお店じゃちょっと手狭だし、雨が降ってしまうと、ちょっとでも体がお店の外に出てしまうと濡れてしまう。流石にこの環境は改善しないとな……と前々から思っていたんだ。


「土地と建物は近々俺とリコで探しに行ってくるよ。」


「最高の場所を確保してくるから、任せてっ。」


 これが事業拡大の項目一つ目。これを聞いてみんながキラキラとした目をしている中、俺は次の項目の説明を始めた。


「で、もう一つ取り組みたいものがある。それが家族を失った子供たちの支援活動だ。」


「おぉっ!!」


 みんながポカンとした表情を浮かべている中、ユリだけはこれを待ち望んでいたように目を輝かせる。


「こんな風に言われても何をするのかわからないだろうから、具体的に説明するな。」


 俺は大きな紙にサラサラと説明を呑み込みやすいように、いろいろと文字や絵などを描いていった。

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