エルフとの酒席再び
カリン達を食事に誘うと、彼女達はお酒で潰れているドーナ達を発見してしまう。
「ん?この匂いと、倒れている面々はもしや……。」
「ついさっきまで料理を食べながら、酒盛りをしていたところだったんです。」
「なるほどな。」
「そういうことでしたか。」
するとカリンとフィースタは、お互いに顔を見合わせると、ニヤリと笑った。
「ではここからは、此方らが社長の相手を
「じ、実は俺もそろそろこれで最後にしようかと思ってたんですけど。」
逃れようとしてみるが、有無を言わせずカリンが俺のグラスに酒を注いでくる。
「美味い料理は社長が提供してくれるからな。酒は此方が提供してやろう。……もちろん、此方の注ぐ酒が飲めぬとは、言わんよな?」
「う……はい。」
「うむ、それで良い。」
そして、ユリ以外の二人は自分達が飲むお酒を用意し始めた。
「ユリは今日は飲まないのか?」
「あ、アタシは良いかな。また酔って恥ずかしい姿を見せたくないし。」
「そっか。」
今回はお酒を飲むことを遠慮したユリの姿を見て、カリンは一安心したようにホッと安堵のため息を吐いていた。
「さて、では乾杯だ社長。」
「ふふ、乾杯です。」
俺のことを酔い潰す気満々の二人が掲げたグラスに合わせて、俺もグラスを掲げた。それが乾杯の合図になり、新たにお酒の席が始まってしまった。
「んっ……ぷはっ、頑張った体に酒が染み渡るこの感覚は、いつ味わっても最高だ。」
「まったくその通りですねカリン様。」
「あ、そういえばナルダに対策して編み出した魔法って、どんな感じになったんです?」
果実酒を飲みながら、俺はカリン達に魔法開発の進捗を尋ねた。
「レイやリリンも協力してくれたおかげで、かなり強力なものが出来上がったぞ。効果だけで見れば、ナルダの妨害魔法の効果対象を此方らからナルダ自身へと変更する……という単純なものだが、魔法に使用する魔力は現存する魔法を遥かに凌駕する量だ。」
「ってことは、それが成功すればナルダは魔法を使えなくなる……ってことですね?」
「その通り……なのだが、恐らく一時的に使えなくなるだけに留まるだろう。頭にくるが、奴は天才だ。此方らが何日もかけて用意したこの魔法を打ち破る方法を、あっという間に見つけてしまうだろう。」
「その一瞬の間にできれば倒したいところですね。」
「あぁ、しかも使えるのは一度きり……次に使うにはまた時間をかけて魔力を注がねばならん。」
なおさら一発勝負か。だけどそのほうが気が引き締まるってものだな。
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