クラーケンを探して
ミースから依頼を受けた後、俺はすぐにグレイスに跨って、海街マーレへと向かっていた。
「いや〜、クラーケンって魔物気になるっすね〜。」
「そうだな。俺もすごく気になってる。言語理解を持ってなくても、興味をそそられる魔物だったな、」
「ヒイラギさんが興味をそそられるってことは……もしかして食べれるっす!?」
「もしかするとな。」
「うぇへへへ……楽しみっすねぇ〜。」
「グレイス、よだれ垂れてるぞ。」
「はっ!?き、気を付けるっす〜。」
そしてマーレの街並みが真下に見えたところで、俺とグレイスは以前訪れた海岸へと着陸した。
そこで海の方を見てみると、見覚えのあるヒレがたくさん見えた。
「はは、やっぱりここが溜まり場になっちゃったんだな。」
近づいて行くと、俺の存在に気づいた一匹が激しく海面に出たヒレをピコピコと動かしながら浜辺へと近づいてきていた。
俺が足を海につけると、目の前からブラックフィッシュが潮を吹きながら顔を出した。
「よっ、久しぶりだな。元気そうで何よりだぞ。」
「キュイッ!!」
こちらを全く警戒せず、海面にぷか〜っと腹を見せて浮かぶブラックフィッシュのお腹を撫でながら、俺はあることを聞いてみた。
「なぁ、クラーケンって魔物知ってるか?」
クラーケンについて問いかけると、ブラックフィッシュは何度も大きく頷いた。
「実はそいつを倒してほしいって依頼を受けてな。危険な所まで行かなくて良いから、案内してくれないか?」
そうお願いすると、ブラックフィッシュはこちらに背中を差し出してくれた。
「ありがとう。」
その背中に跨ると、一気に加速して海を突き進んでいき、陸がすっかり見えなくなったところで、ブラックフィッシュはピタリと止まった。
「この辺なんだな。」
俺はグレイスを抱えたまま、龍化して背中から翼を生やし空へと飛び上がった。
「上から見てる限りだとクラーケンって奴の姿は見えないな。」
「あ、ヒイラギさん。あそこに人間の船があるっす。」
「本当だな。」
クラーケンの目撃情報があるのに、ここまで船を出してくるのか。なかなか無謀な事をするものだな。
まぁ、漁師の人からすれば生活がかかっているから無理にでも船を出したかったのだろうが……。
すると、その船の真下へと何か大きな物が動いていくのが見えた。
「あれは……もしかして。」
そう思っていると、海から巨大な触手が何本も船を囲むように飛び出してきたのだ。
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