静葉の為にヒイラギ動く


 師匠が死の女神から解放された翌日、俺はエミルの街へと足を運んでいた。


「ヒイラギさん、今日はどこに行くっすか?」


 俺が抱いているグレイスがそう問いかけてきた。


「今日はちょっと魔物の情報をもらいに来たんだ。」


「魔物っすか?」


「あぁ、言語理解のスキルを持ってる魔物を探してるんだ。」


 そう言うと、グレイスは俺の目的を感づいたらしい。


「あ!!わかったっすよ〜。シズハさんの為に探してるっすね?」


「ま、そういう事だな。」


 そしてグレイスと共にエミルの街のギルドへと入り、受付でミースがいるかを問いかけた。


「今日ミースっているかな?」


「ミースギルド長なら、二階にいらっしゃいますよ。」


「わかった、ありがとう。」


 ギルドの二階へと上がって、ギルド長室の扉をノックした。


「突然すまない、ヒイラギだ。」


「あ、中へどうぞ〜。」


 入室の許可をもらってから中に入ると、書類にポンポンと判子を押しているミースと目があった。


「おはようございます、ヒイラギさん。」


「おはようミース。突然訪ねてきて、すまないな。」


「いえいえ、今日はお仕事も少ないですから大丈夫ですよ。それで、今日はどうしました?」


「実は探してる魔物がいてな。言語理解ってスキルを持ってる魔物なんだけど……。」


「んん?言語理解……ちょっと待っててくださいね。」


 何か心当たりがあるようで、ミースは本棚から一冊のファイルを取り出して、パラパラと中をめくり始めた。


「あ!!やっぱり……。ヒイラギさん、言語理解を持ってる可能性のある魔物が討伐手配されてます。」


「おっ、詳細を教えてもらえるかな。」


「はい、その魔物の被害があったのはここじゃなくて、マーレなんですけど。マーレの沖で人の言葉を理解するが漁船を狙って暴れてるみたいなんです。」


「クラーケン?」


「おっっっきなイカの魔物ですね。吸盤のついた足がいっぱいあって、それで魚を獲ってる漁船とかを襲うんです。」


「なるほどな。」


「今回の言葉を理解するクラーケンがいるせいで、かなり漁師さんの方にも被害が出てるみたいで……。」


「ん、わかった。じゃあその依頼を俺に受けさせてくれ。」


「助かります。海の上なので、なかなか受けてくれる冒険者の人もいなくて困ってたんです。」


 そして俺は正式にミースから、クラーケン討伐の依頼を受けた。


 クラーケンか…………大きなイカの魔物って言ってたし、もしかするとたべれる……かな?

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