日本語を話せる救世主
その後、師匠を連れてみんながいる屋敷へと向かった。そこでもやはり言葉が理解できずに四苦八苦していたが、唯一……俺の仲間の中に一人だけ日本語を理解している人物がいた。
「わたし…めりっさ。ぱぱの…こども!」
まさかの日本語で師匠に挨拶をしたのは、以前から少しずつ日本語を勉強していたメリッサだった。
日本語を話していることにも驚愕し、更に俺の子どもを名乗ったことで、師匠は大きく動揺していた。
「パ、パパァッ!?そ、それに……こ、子供だと!?ひ、柊ッ!!いつの間に子供なんて作ったんだ!?」
「そ、その話はまた長くなるのでまた今度にしましょうか。」
俺が師匠を落ち着かせていると、
「言葉はわからないけど、すごく動揺してるのは伝わってくるわね。」
「ね、めちゃくちゃ動揺してるよ。」
「これはまた話すと長くなるんですけど…………。その話はまた今度にしましょうか。」
この話は話すとめちゃくちゃ長くなる。だから、落ち着いたらまた今度師匠には話しておこう。
そう決めていると、メリッサが再び日本語で師匠に話しかけていた。
「おなまえ…なんていう?」
「私か?私は八雲静葉という、静葉と呼んでくれ。」
「しずは…ことばおしえる?」
「おぉ!!ぜひとも学んでおきたいぞ!!教えてくれ!!」
「うん…こっちきて。」
そしてメリッサは師匠の手を引いて、二階へと上がっていってしまった。
「まぁ、メリッサに任せておけば……なるとかなるかも。」
メリッサは天才だからな。他の人に言葉を教えるのも上手だと思う。そして少し安心していると、シアにクイッと服を引っ張られた。
「お兄さん!!シア達もメリッサちゃんと一緒にいても良いかな?」
「大丈夫だと思うぞ。」
すると、シアとマドゥもメリッサと師匠が上がって行った二階へと駆けて行った。
「あの二人がいれば、獣人族の言葉と人間の言葉が両方聞けるだろうから、より勉強が捗るだろ。」
師匠が三ヶ国語をマスターするのが先か、それとも俺が言語理解のスキルがある宝玉を入手するのが先か……競争だな。
ま、兎にも角にも師匠が死の女神から解放されて良かったな。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます