繋がりと魂の乖離
それから毎日、師匠に神華樹の果実を食べてもらった後、俺が神気をまとわせた手で鎖を叩くという工程を行ってから三日後のことだった。
「だいぶ鎖全体にヒビが目立つようになってきたな。いつ切れてもおかしくなさそうだ。」
今日も神華樹をあっさりと食べ終えた師匠が、具現化した鎖を見てポツリと言った。
「そりゃあ毎日繰り返してますから、このぐらい効果が目に見えてくれないと。」
これを叩いた後の無気力状態が……まぁツラいというほどではないんだが、日常生活に支障をきたしそうでなかなか怖いものなんだ。
「さて……それじゃあ今日もいきますよ。」
「あぁ。」
師匠に確認を取ってから、ヒビだらけの鎖へと神気をまとわせた手刀を振り下ろした。
すると、いつもはびたりと鎖のところで止まる手刀が、今日は最後まで振り切ることができたのだ。
「ん?」
手刀が鎖を突き抜けると同時に、師匠と死の女神とを繋いでいた一番太い鎖が粉々に砕け散り、シュワシュワと霧散してしまった。
「や、やりましたよ師匠!!…………師匠?」
こちらの呼びかけに師匠は応じない。力なく項垂れ、目を閉じてしまっていたのだ。ユサユサと師匠の体を揺さぶってみると、彼女の口から白い魂のようなものが出てきてしまった。
「な、何がどうなってるんだ!?」
突然の出来事に慌てていると、誰かがその魂のようなものを鷲掴みにした。
「ふぅ、なんとか間に合いましたね。」
「イリス!!」
魂のようなものを鷲掴みにしていたのは、イリスだった。どうやら師匠と死の女神の繋がりが無くなったことに気がついて、マジックバッグから飛び出してきたらしい。
「静葉さんは、死の女神に転生させられた存在ですから、繋がりが切れてしまった為に、肉体から魂が離れてしまったんですね。」
師匠の魂を手で捕まえながら、イリスは説明する。
「そのイリスが手にしてる魂を、これからどうするんだ?」
「これはですね、ちょっと私の神気を流し込んでから〜……こうするんです!!」
すると、イリスは強引にその魂を師匠の口の中へらグイグイと押し込んでいく。
この光景どっかで見たことあるな……。
そして、魂が元の師匠の体の中に戻ってから数分すると、師匠はゆっくりと目を覚ました。
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