神気闘法の力
ナルダの襲撃のあった翌日から、妨害魔法を対策するために、リリンとレイの二人はカリンの屋敷へと朝早くから向かった。
カリンが妨害魔法の対策に専念するため、マドゥを今日からこちらの屋敷でお世話することになった。
「あ、あの……よろしくお願いします。」
「そんなに気を使わなくて大丈夫だぞマドゥ。普段通り、シア達と楽しく遊んでればいいから。」
ポンポンとマドゥの頭を撫でていると、シアとメリッサの二人がこちらへと駆けてきた。
「あ!!マドゥくんいらっしゃい!!」
「おはよ…。」
「お、おはようシアちゃん、メリッサちゃん。」
「今日はシアのお部屋で遊ぼ!!こっちだよ!!」
そしてマドゥはシア達に連れられて、屋敷の二階へと上がっていった。
「さて、俺も次の襲来に向けて準備するか。」
俺は普段エルフ達が弓や剣などの腕を磨く為の修練場へと足を運ぶ。すると、そこではエルフの国を守るため、エルフの兵士たちが今日も自分たちの腕を磨いていた。
「あ、お菓子の社長さんだ〜。」
「すまないが、ちょっとここの一角を借りてもいいかな?俺も自分を鍛えたくてさ。」
「いいよいいよ〜、私達だけじゃこの広い修練場を使い切れないし、使って使って〜。……あ!!でも弓の直線上に入っちゃ駄目だよ?」
「気をつけるよ。それとこれはみんなで食べてくれ。」
エルフの兵士たちに、俺はお菓子の差し入れを手渡した。すると、そこら中で鍛錬していたエルフたちが一斉に集まってくる。
「私これ〜!!」
「ちょっと、みんなで分け合うから押さないでよ!!」
わ~わ〜とちょっとした騒ぎが起こってしまったが、喜んでくれているようで何よりだった。
そして俺は一人、修練場の端っこの方で神気闘法の修練を始める。
「まずはこれを使うところからだな。」
神気闘法と頭の中で強く念じると、俺の体を温かい光が包みこんだ。
「んでステータスオープンっと。」
ステータスで神気残量を覗いてみると、やはり少しずつ減っているようだ。
「これで攻撃したら……どうなるんだろうな。」
試しに軽く正拳突きを正面に放ってみると……軽く放ったとは思えない轟音が鳴り響き、辺りを揺らした。
これにはお菓子で幸せな気分を味わっていたエルフたちも、目をひん剥いて驚いていた。
「い、威力も凄まじいようだな……。扱いには要注意って感じだ。」
少なくとも生身の人間に使うような代物ではない。使うとしたら……ナルダやエンリコのような死の女神の幹部の奴らだろう。
神気闘法の凄まじい威力を確かめたあと、俺は一度エルフの兵士たちに謝罪をしてから、今一度鍛錬に励むのだった。
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