気になる神華樹の味は……
屋敷に帰ってきて、さっきまで自分が一人で晩酌をしていた場所に座る。
「ふぅ、最初は驚いたけど兎にも角にもマドゥは無事でよかった。」
カリンの話だと、以前収穫した神華樹の果実を食べたら、少し体が光り、更に収穫したばかりの神華樹を搾ってジュースにして飲ませてみたら、あんなふうになったらしい。
「まだまだこれはわからないことがいっぱいだな。」
バッグから神華樹の果実を一つ取り出して、それを眺めながらポツリと呟く。
「…………そういえば、みんなはこれを食べたことがあるけど、俺はまだ食べてなかったな。」
貴重ということもあって、俺は今の今までこの果実を食べていなかった。
「ハウスキットの中の神華樹には、まだ何個か実がなっていたよな。」
まだストックがあるなら、これ一つ食べても問題はないだろう。
「食べてみるか。」
多分、何の手間を加えなくても、このままかぶりついて問題はないだろう。
俺は一つ息を吐いてから、金色に光る林檎のような見た目の神華樹の果実にかぶりついた。
「…………!!」
神華樹の果実を口にして、驚くべきことがわかった。
「味が……ない?」
いや、前にシア達が食べたと言っていた時は、確かに美味しかったと言っていたはず。たまたま熟していなかっただけか?
「ん〜、よく分からないな。」
よく分からないまま、完食すると……頭の中に聞いたことのない声が響いた。
『条件が満たされました。これより種族人間、真名……柊 暮葉の
「は……え?」
その声が響いた直後、まるで強制的に電源が落とされたように、俺の意識はぶつんと途切れた。
◇
「はっ!?」
途切れていた意識から急に覚醒し、一気に体を起こすと、ゴツン……と硬い何かに頭がぶつかった。
「はぐぅっ!?」
「いてて……って、イリス?」
ぶつけたおでこに手を当てながら、周りを確認してみると、すぐ近くに同じくおでこを押さえたイリスがいた。
「お、おはようございます。ヒイラギさん。」
「もしかして俺……イリスにぶつかっちゃったか?ご、ごめんな。」
「いえいえ、大丈夫です。それよりも、
「進化?あ、そういえばそんなこと言ってたな。……どこか変わったか?」
自分の体をくまなく確認してみるが、特にこれといって変わっている場所はないようだが。
「外見は変わっていませんけど、確かに進化はしているみたいですよ。ステータスをご覧になってみては?」
「そうだな。それが一番早いな。……
そして自分のステータス画面を開いてみると、とんでもないことになっていた。
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