レイとともに帰ってくると……


 日が暮れて辺りが暗くなってきたところで、レイがポツリと言った。


「今日はありがとうな主。ワシに付き合ってくれて。」


「俺も楽しかったよ。こういう珍しい景色も見れたし、いい思い出になった。」


「そう言ってくれるのなら、ワシも助かるのじゃ。」


 嬉しそうにレイは笑った。


「さて、そろそろ帰るかの主。あんまり遅いとドーナやランに詰められそうじゃ。」


「そうだな。夕ご飯も作らないといけないし。」


 そしてレイがパチンと指を鳴らすと、俺たちの足元に魔法陣が展開され、光を発し始めた。





 レイとともにエルフの国の屋敷へと帰ってくると、ちょうどシア達もマドゥと遊んで帰ってきたようだ。


「あ!!お兄さんただいま!!」


「ぱぱ…ただいま!」


「二人ともおかえり。楽しく遊んできたか?」


「「うん!!」」


 今日も楽しく遊んできたらしい二人の頭を撫でていると、シアが不思議そうな顔で俺とレイのことを眺めていた。


「お兄さん達は二人で、何してきたの?」


「むっふっふ〜、その質問にはワシが答えてしんぜよう。ズバリ、ワシと主は今の今まで二人でをしてきたの……じゃっ!?」


 話している途中で、レイの頭を誰かが鷲掴みにした。


「へぇ~?随分面白そうな話をしてるじゃない。ねぇ?」


「是非とも詳しく聞かせてほしいねぇ。」


「な、お主らいったいどこから現れたのじゃ!!」


 いつの間にか、ランとドーナの二人がレイの背後に立っていたのだ。


「ワタシ達はヒイラギが帰ってきたから、お迎えに来ただけよ?そうしたら、な〜んかレイが妙なことを言ってるじゃない。」


「急にヒイラギのところに行くって、魔法で飛んでいったと思ったら……まさか抜け駆けしてデートしてたとはねぇ。」


「これからは目を離しちゃいけないわね。」


「ぬぐぐぐ、離すのじゃ!!ワシにくっついてよいのは主だけじゃぞ!!」


「はいはい、寝言は寝てから喋りなさいね〜。」


「ぬぉぉぉぉっ!!主ぃ、助けてくれぇっ!!」


「すまん、それは助けられないや。」


 鬼の形相のランとドーナに、屋敷の中へと引きずられていってしまったレイ。


 あれは長時間拘束されそうだな。


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