友達
正式にマドゥがカリンの子供になってから数日もすると、エルフの国中にその噂が広がり、すっかりマドゥは有名人になってしまったようだ。幸いにもエルフたちは、人間という種族でも子供には優しく接することができるらしく、マドゥはカリンのみならずエルフたちみんなからとてもかわいがられていた。それだけにとどまらず、彼は友達も作ることができたらしい。
「お兄さん、お兄さん!!」
朝食を食べ終わった後、シアがトランプを片手にこちらに駆け寄ってきた。
「シア、どうした?」
「あのねあのね!!メリッサちゃんと一緒にマドゥ君のところに遊びに行ってきていい?」
「ぱぱ…おねがい!」
どうやらシア達はマドゥと友達になることができたらしく、最近毎日のように彼と遊ぶために外へ出かけていたのだ。今日はトランプで遊ぶつもりらしい。
「いいぞ、その代わりちゃんと夕ご飯の前までには帰ってくるんだぞ?」
「「うん!!」」
「それじゃ、気をつけていってらっしゃい。」
「「はーい、行ってきます!!」」
そう約束を交わすと、シア達は元気よく屋敷を飛び出していった。その様子をドーナ達も微笑ましく眺めている。
「友達ができてシア達も楽しそうだねぇ。」
「あぁ、本当だな。」
友達が一人増えれば、楽しさも倍増することは間違いない。それに友達との思い出は、シアとメリッサにとって、そしてマドゥにとってもきっと宝物になるはずだ。
「さて、じゃあ俺も出かけるとするかな。」
「あら、どこに行くの?」
「ちょっとエートリヒに呼ばれててな。人間の国に行ってくるよ。」
つい昨日、エートリヒから城に来てほしいという旨を伝える書状が届いたのだ。
「じゃあ途中までワタシ達も一緒に行くわ。もうそろそろ、あのミルタって人間がワタシ達が注文した家具を用意してくれてると思うから。」
「本当は主にぴったりと付き添って行きたいがの。流石に邪魔になりそうだ。」
「あら、最近ずいぶん弁えたじゃない。ヒイラギに名前をもらってからすぐは、べったりくっついてなきゃ落ち着かないって言ってたのに。」
「ふ、ふん……主の迷惑になることはしたくないだけのことじゃ。」
「ふぅ~ん?まぁ良い心構えだと思うわ。」
レイがランに弄られている間に、俺はリリン達にも今日の予定を尋ねてみた。
「リリン達は今日はどうする?」
「家具の受け取りにはライラについて行ってもらうわ。私とフレイは万が一あの子たちが戻ってきたときのためにここに残ることにするわ。」
「あ、ボクはちょっとアンネちゃんのところに行ってくるよ。だからお姉さまは一人でお留守番ね。」
「え゛っ?」
なんだかんだぶ~ぶ~文句を言いながらも、お留守番を引き受けてくれたリリンだった。
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