マドゥの母親を探して②


 カリンと共に、湖へと向かっている道中……俺たちは冒険者の一団と出くわした。


「ん?あんたらここは危ないぞ……って、そ、その耳……まさかエルフなのか!?」


「エルフに驚いてる場合じゃねぇよ!!その隣にいるのは、白金級冒険者のセドルをぶっ飛ばした奴だ!!」


 俺達の姿を見て驚いている冒険者の一団に、カリンが質問を投げる。


「おい、この先に何がある?そんな大層な装備をして、魔物の討伐か?」


「あ、あぁ実はこの湖に最近ウェアウルフの群れが住み着いちまったんだ。その群れを討伐に向かうんだよ。」


「もう一つ聞く。そのウェアウルフを討伐しに、そなたら以外にも向かった者はいるか?」


「つい昨日、派遣されてきた金級の冒険者が何人かで向かったって聞いたぜ。そいつらがまだ帰ってきてねぇんだよ。オレ達はそいつらの捜索も兼ねてる。」


 カリンは何かを確信すると、チッ……と大きく舌打ちした。


「魔力がどんどん失われているのはそういう事かっ!!社長ッ!!」


「わかってます!!」


「あ、お、おい!!あんたら!!」


 冒険者達の引き止める声を無視して、カリンと共に先へと急ぐと、赤黒い毛皮の二足歩行の狼を視界に捉えることができた。


「む!?あれはただのウェアウルフではないぞ!!上位種のヴラドウルフだ!!」


「魔力の反応はやっぱりこの先ですか?」


「間違い無い。あのヴラドウルフ共の群れの中から感じるぞ。」


 ヴラドウルフ達は、俺達を見つけると遠吠えで仲間に合図を送る。


「ふん、集まってもらったほうが手間が省けるというものだ。」


 凶悪な爪を振りかざしながら襲いかかってくるヴラドウルフの集団に向かって、カリンは自分の魔力を凝縮した玉を放った。

 それがヴラドウルフ達へと直撃する寸前に、彼女はポツリと呟く。


「弾けろ。」


 そう呟いた直後、魔力が凝縮された玉が一気に膨張して爆発し、ヴラドウルフ達を飲み込んだ。それで一気に消し飛んだかと思われたが、その爆発の中から何匹か軽傷で済んでいる奴らが飛び出してくる。


「おっと、なかなかタフだな。面倒な……。」


「近づいてきたのは俺がやりますよ。」


 カリンへと飛びかかってきたヴラドウルフを、一匹ずつサンダーブレスを纏わせた手刀で仕留めていく。


「このまま一気に殲滅するぞ。」


「わかりました。」


 彼女と協力して、ヴラドウルフの群れを殲滅するのだった。マドゥの母親が無事だと良いんだが……。

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