マドゥの母親を探して
お腹いっぱいになって、たくさん話をしたからだろうか、マドゥは少し眠そうにしている。
「マドゥよ、眠りたければ好きに寝ているといい。此方らは邪魔せんよ。」
「うん……それじゃあ、ちょっとだけ。」
ゴロンとベッドに横になったマドゥにカリンは優しく布団をかけた。
「うむ、今は疲れを癒すのだ。ここにはお前を傷つける者はいない。だから安心して眠れ。」
カリンが横になったマドゥの頭を優しく撫でていると、すぐに彼は安らかな寝息をたて始めた。
「さて社長よ、今から時間はあるか?」
「ありますよ。」
「今から人間の国へ向かうぞ。理由はわかるな?」
「もちろん。マドゥの母親に会いに行くんですよね。」
「うむ。十中八九、母親が自分の意志でマドゥを捨てたのだろう……だが、まだほんの少しだけ可能性は残されている。それを確かめに行くぞ。」
そしてカリンとともにマドゥの部屋を出ると、彼女はパチンと指を鳴らす。直後俺達の足元に魔法陣が展開された。
その魔法陣が光を放つと、次の瞬間には俺とカリンは人間の国の王都へと転移してきていた。
「さて、マドゥの母親を探すとするか。」
「探すって言ったって、何か当てはあるんですか?」
「くく、此方を侮るなよ社長。マドゥの魔力は覚えている……子の魔力というのは親に似るものだ。つまり、マドゥと同じ波形の魔力を持っている人間を探し出せば良いだけの話だ。」
くつくつとカリンは笑うと、両手を前に突き出してゆっくりと目を閉じた。それからしばらくすると、彼女は首を横に振った。
「ここにはいない……次だ。」
そこからは手当たり次第にいろんな街に転移しては魔力を探るという作業を繰り返した。そしてようやく、俺も良く知るとある街でやっとマドゥと似た魔力をカリンが感知した。
「む、感じるぞ。この街にマドゥと同じ波形の魔力を。」
「ここは……シュベール。」
カリンがマドゥと同じ波形の魔力を感じたのは、水の街シュベールだった。
「だが、これはどういうことだ?魔力が今にも尽きかけている。」
彼女曰く、マドゥの母親らしき魔力が今にも尽きかけている……とのこと。
「しかも魔力を感じるのは街の中からではない。向こうの湖の方から感じるぞ。」
「何にせよ早く向かったほうが良さそうですね。」
「うむ、急行するぞ。」
カリンと共に、魔力の源へと向かって走るのだった。
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