見つけた魔力の痕跡


 宝玉にかぶりついたカリンは、じっくりと味わってから、一口目を飲み込んだ。


「んっ、味はなかなか野生的だが悪くはない、乾燥させた塩漬けの肉を口にしているようだ。」


 そんな食レポをしながら、カリンは宝玉を完食すると、自分の内から溢れる力に驚いていた。


「おぉ!!これは……凄まじいぞ。」


 あのライオンの巨人の全てのステータスをモノにしたのだ。恐らく今のカリンの力は……。


 考察している最中に、カリンはおもむろに地面に拳を打ちつける。すると、大きく地面が陥没し地割れが走った。


「魔力を込めずともこの力……久方ぶりに自分が強くなったと実感したぞ。」


 心底嬉しそうに体を動かすカリン。


「しかし社長のそのスキルは反則だな。やる気になれば自分自身を最強にすることはもちろん、仲間をも最強にして、一国を造ることも可能だろう?」


「多分……。」


「では何故それをしなかった?」


「そもそも、そんな事を考えたことがなかったですね。」


 そう答えると、カリンは一瞬ポカンとした表情を浮かべたが、すぐにクスクスと笑った。


「そうか、そうだったな。此方ともあろうものが、社長の性格を忘れていた。」


 納得したように頷きながら、カリンはクルリと俺に背を向けた。


「さて、ナルダの捜索を再開しよう。時間は限られているからな。」


 そして、再びナルダの魔力を探して歩き回る。道中で何度も原生生物に襲われながらも、懸命にナルダの魔力を探した結果……カリンがとある場所でやっとナルダの魔力を検知した。


「む、見つけたぞ。ここからナルダの魔力を感じる。しかも新しいぞ。」


 カリンがナルダの魔力を感じ取った場所は、誰かが住んでいた形跡のあるボロボロの廃墟だった。


「この下へ続いている。ということは、どこかに下に続く入口があるはずだ。」


 彼女は廃墟の床を入念に調べていく。


「魔力の痕跡はここに残っている。」


 ナルダの魔力の痕跡を辿り、彼女は床に無造作に置かれていた不気味な銅像を手に取った。


 するとガコン……と床が開き、下へと続く階段が現れた。


「なるほど、これが鍵だったというわけか。社長、これは罠やもしれんが……入ってみるか?」


「ナルダが中にいる可能性もあるんですよね?」


「かなり薄い可能性だが、望みはあるかもしれん。」


「なら行きましょう。」


 そして俺とカリンは、隠されていた地下室へと足を踏み入れるのだった。

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