未開の地の存在
翌日……俺はカリンにナルダの調査の供をしろと言われ、断ることもできず彼女のお供をすることになってしまった。
お互いに眠い目を擦りながら、カリンはテーブルの上に見たことがないほど大きな地図を広げた。
「随分大きな地図みたいですけど。」
「これはこの世界の全貌を描いた、唯一の地図だ。三種族が住んでいる大陸が、この地図の中央にある丸い大きな大陸だ。」
カリンが指をさした地図の中心にある丸い大陸は、地図の中でも唯一しっかりと色がつけられて描かれていた。
しかし、俺たちが立っているこの大陸の他にも、巨大な大陸は存在しているようだが……それらには全く色付けされていない。それがすごく不思議だった。
「ちなみになんで、こっちの大陸とかは色がついてないんですか?」
「此方らが住んでいるこの大陸以外は、未だしっかりとした探索が済んでいない未開の地だ。」
「しっかりとした探索ができてないのに、よくこんな地図が用意できましたね。」
「探索をせずとも世界の地形を把握することは、魔法で可能だ。」
そしてカリンは、短い杖でその未開の地である大陸のある場所を指し示す。
「ナルダの最も新しい魔力を感じ取ったのはここだ。」
「魔力を感じ取った……って、ここに足を運んだんですか?」
「うむ。此方は初めから、ナルダはこの大陸に潜伏しているとは思っていなかった。故にこの未開の地に自ら赴き、ナルダの魔力を探していたというわけだ。」
「その未開の地って結構危険なんじゃ?」
「危険も危険だ。生存競争を生き抜くために進化した魔物が、そこら中に蔓延っている。」
カリンの話を聞く限り、かなり危険な大陸なのは理解できた。そして彼女が今日、俺を連れて行こうとしている理由も。
「つまり、俺は邪魔をしに襲いかかってくる魔物を蹴散らせばいい……ってわけですね。」
「理解が早くて助かるぞ。そういうことだ。ナルダの魔力を探っている間、此方を守ってくれ。」
そしてカリンは、椅子から立ち上がると屋敷の床をコツコツと、2回足の爪先で叩いた。すると、そこを中心に大きな魔法陣が現れた。
「では参るぞ社長。向こうの大陸では何が起こるか、此方でも予想がつかぬ。常に辺りに気を配り、微細な変化も見逃さないようにしてくれ。」
その注意喚起を聞き終える頃には、魔法陣が強烈な光を発して、俺とカリンの体を飲み込んでいた。
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