カリンの疑問
ナルダのことを話し終わったところで、カリンはチラリと下に視線を向けた。
「ところで社長、どうして此方がこんなに密着しているというのに興奮していないのだ?」
「へ?」
「人間の男は、美形の女に体を擦り付けられれば、すぐに興奮し発情する……それが此方の認識だった。」
こちらの表情を覗き込みながら、カリンは不思議そうに言った。
「いや確かに此方の体は、フィースタや娘のユリに比べれば、胸も尻も出ておらん。だが、これでも成熟した女の体だ。普通の人間の男であれば、劣情を抱くのは必至なはず。」
「いや、それは人それぞれなんじゃ…………。」
そうツッコミを入れるが、彼女は構わず続けて言った。
「それと、更に気になる報告もある。社長はこの国へと連れてこられた時……フィースタとともに過ごしていた。その際、フィースタの体と密着する機会があったにも関わらず、それでも一切興奮しなかったそうだな!?」
「どんな所まで報告受けてるんですか!?」
「言ったはずだ、この国での社長の行動は全て此方の耳に入ってくるとな。」
今と同じ言葉をレアチーズケーキの試作をしていた時に、カリンが言っていたことを思い出した。
「此方のような女でも、フィースタのような豊満な体つきの女でも興奮しない。ならば、社長はいったいどんな女ならば興奮するというのだ?是非とも此方に教えてほしいぞ!!」
逆にカリンが興奮しながら、凄まじい勢いで詰め寄ってくる。
「そ、そう言われても……。」
毎日ドーナ達とくっついて一緒に寝ているから、そういう事に対する耐性がついてしまった……とは口が裂けても言えない。
多分、彼女達と心を通わす前の俺だったら、今の状況にもちょっとドキッとしていたかもしれない。
「うぐぐ…ふぃ、フィースタから聞いてはいるとは思うが、現状エルフには女しかいない。そしてこの国に馴染んでいる男は、他でもない社長しかいないのだ!!」
そしてバッと俺の肩を鷲掴みにすると、カリンは悪い笑みを浮かべた。
「故に、社長の女の好みが分かるまでここからは帰さん。覚悟しろ!!」
「えぇ……。」
結局その日はカリンにずっと密着されながら、質問攻めにされたのだった。
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