狂気的な実験
数百年前に起こった人間が魔物に変化するという事についてバフォメットは、少しずつ語り始めた。
「あの時は、確か……人間がさらなる進化を求めた時代。つまり強欲だった時代だな。とある魔法使いが、人間に強力な魔物の力を移植できないかと考えたらしい。」
「ちなみにその魔法使いの名前ってわかるか?」
「確か名は
「禁術使いナルダか。」
「なんだ、知っていたのか。」
「実はその人間を魔物に変えてしまう液体を、エルフの最長老に見てもらったら、そのナルダって言う魔法使いの魔力を感じるって言われたんだよ。」
で、今回のバフォメットの話によると、ナルダは人間に強力な魔物の力を移植できないかと考えていたと。
「で、その後の話は何かわかるか?」
「うむ。その魔物の力を移植する実験には、最初殺人を犯した犯罪者などが使われたらしい。結果はなかなか悲惨なものだったらしいがな。魔物の力に耐えきれず、移植された人間が発狂し死んだとも聞いた。」
「人体実験ってわけか。非人道的だな。」
「昔は犯罪を犯した者には人権なんぞはなかった故、そのような粗雑な扱いを受けていたのだ。」
「ふむ……それでその実験は成功するまで続いたのか?」
「実験成功を前に、ナルダはその時代の名のある魔法使いたちに強襲を受けたと聞いたな。それ以降の話は我も知らん。」
「そうか。」
その強襲は、恐らくカリンの話にあったやつだな。にしても、その時代のカリンを含めた名のある魔法使い全員を相手にして、更には圧倒するとは……改めてとんでもない奴だなナルダって魔法使いは。
バフォメットからその時代のナルダって魔法使いについて話を聞いていたら、用意していた酒が底をついてしまった。
「ん、酒もなくなったか。参考になるいい話も聞けたし、今日はこの辺でお暇しようかな。」
「手合わせも良いが、こうして酒を飲み、談笑するのも悪くないな。」
「次来るときもまたお酒を持ってくるよ。」
「その時は最初に手合わせを所望しよう。我のこの仕上がった筋肉と、新たな武を披露したいからな。」
そう言ってバフォメットは、ボディービルダーのようなポージングを決めた。確かに以前会った時よりも、筋肉が増しているような気がしないでもない。
「あぁ、約束しよう。シア達も会いたがってたからな。」
そして、俺はバフォメットに別れを告げてダンジョンから出るのだった。
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