バフォメットと酒盛りを


 バフォメットと酒を飲み交わしながら、今人間と獣人族とエルフと三種族がまた、交流を始めたことを話すと、彼は嬉しそうに笑った。


「うむ、それは良いことだ。それにしても、よくあの排他的なエルフと関わりを持つことができたものだ。」


「それは話すと結構長くなるんだが…。」


「酒の肴にはちょうどいいだろう聞かせてくれ。」


 バフォメットにエルフと出会うことになってしまった経緯と、エルフの国でお菓子の会社を立ち上げることになってしまったことを話すと、奴は愉快そうに笑った。


「むははははっ、ずいぶん数奇な運命に巻き込まれたものだな。」


「まぁでもおかげで、エルフと交流を再開できたから結果的には良しだよ。」


「終わり良ければ全て良しというからな。結果的にそれで三種族がまたお互いに親睦を深めることができているのであれば、それでよい。」


「そうだな。」


 お互いにグイっと酒を飲み干すと、ほんのりとバフォメットの顔も赤くなってきているのが見て取れた。


「だいぶ効いてきたみたいだな。」


「クク、酒を飲むのはいつぶりだと思っている?数百年ぶりだぞ、効くに決まっている。」


 そう言いながらもバフォメットはペース良く、酒を飲み干している。奴にも酒が回ってきたところで、俺は聞きたかったことを問いかけてみることにした。


「で、今日は聞きたいことがあってここに来たんだ。」


「聞きたいことか。我が答えられることであれば答えよう。」


「実は最近、魔物がめちゃくちゃ狂暴になったり、人間が魔物みたいに変わったりする事件が起こってるんだ。」


「人間が魔物に?それはまたどこかで聞いたことのある話だな。」


 どうやらバフォメットは このような事案を聞いたことがあるらしい。


「聞いたことがあるのか?」


「あぁ、何百年か前にそんな不吉な話は聞いたことがある。確かあの時は……人間が魔物の力を欲したときにそんなことが起こったと聞いたぞ。」


「お前ってこんなダンジョンの最下層にいるのに意外と、そういう情報には詳しいんだな。」


「昔はそれほどにダンジョンに挑んでくる冒険者が多かったということだ。今はこのダンジョンに来るのはヒイラギぐらいなものだがな。」


 そう言ってバフォメットは愉快そうに笑う。


「で、そのことについてちょっと話を聞かせてくれないか?」


「とはいってもそんなに知ってることは少ないがな。」


 そしてバフォメットと酒を飲みながら、例の話について聞かせてもらうのだった。

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