あるものを受け取りに…
それからシンとともに異常な行動をする魔物を討伐し、十分なサンプルが集まる頃には日が暮れてきてしまっていた。
「うむ、このぐらい倒せば研究には事足りるだろう。」
今運んでもらっている魔物の数は十匹程度。研究にはいろいろなパターンのサンプルがあったほうが良いと思ったので、すべての魔物を違う方法で仕留めてある。
「倒すよりも探すほうに時間がかかったな。」
「幸いなことに、まだこのような異常な魔物の数自体はそんなに多くは無いらしい。」
「でもこれから増えるかもって考えたら、それなりの対応が必要だな。」
「うむ、この件に関しては我の方で対策は進めておく。何かこの魔物について情報がわかり次第、エートリヒと、カリン殿にも共有しよう。」
「頼む。」
あとのことはシンに任せ、俺は一度エルフの国へと戻るのだった。そしてグレイスを連れて、人間の国のとある場所へと向かう。
「グレイス、この辺で降りてくれ。」
「了解っす!!」
グレイスに街の近くに降りてもらい、ここからは徒歩で向かう。
「この街に戻ってくるのも久しぶりな気がするな。」
俺達が降り立ってきたのは、エミルの街。俺がこの世界に来て最初に訪れた街だ。
「ヒイラギさん、ここでなにかするっす?」
「いや、何かするってわけじゃないが……。ある場所に寄っておきたくてな。一先ずはギルドに行こう。」
グレイスを抱いて、ギルドへと向かう。ギルドの扉を開けると、意外にもあんまり人気はなく、ミースと何人かの受付嬢が、一つのテーブルを囲んでお酒を飲んでいた。
「やぁミース。」
「あ!!ヒイラギさんじゃないですか〜、今日はドーナさん達は一緒じゃないんですね?」
「あぁ、今日は俺とこの子だけだ。」
ヒョイとグレイスを持ち上げてミースに見せた。すると、グレイスはビシッと敬礼してみせる。
「う、動いた!?」
「あぁ、ミースはまだ知らなかったな。この子はグレイスって……一応ドラゴンなのか?まぁ、俺達の旅を助けてくれてる仲間なんだ。」
「て、てっきりぬいぐるみかと……。」
「ま、紹介はこんなところで、エートリヒから
「もちろん、ちゃんと預かってましたよ。ちょっと待っててくださいね。」
ミースはパタパタと二階へと駆け上がっていくと、すぐに小さな黒色の箱を携えて戻ってきた。
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