雷vs雷
人間が落雷に当たる確率は百万分の一……って聞いたことがあるが、実際に当たってみると、そんなに大したものじゃないな。少し体がビリビリするぐらいだ。
まぁ、カオスドラゴンのサンダーブレスと比べてしまっている俺が悪いのかもしれないが……。
「ハッ、所詮人間は人間だ。落雷一発で動けなくなりやがったぜ。」
初めての落雷直撃の感覚を味わっていると、雷のドラゴンが言った。
「百万分の一の良い経験をさせてもらった……。これはお返しだ。」
雷のドラゴンへと向けて、俺はサンダーブレスを放った。あえてサンダーブレスを放ったのは、この落雷よりも俺のブレスの方が強いぞ……という嫌味を込めたから。
「チィッ!!」
とっさに雷のドラゴンは上空へ飛び上がるが、少し避けるのが遅かったらしく、俺の放ったサンダーブレスによって、片翼の翼膜の大部分が消し炭となっていた。
「テンメェ……このオレ様に雷のブレスを吐いてくるたぁ、イイ度胸してんなァッ!?」
上空でこちらを見下ろしながら怒る雷のドラゴンの様子を見る限り、どうやら先ほどのサンダーブレスの意味を理解してしまったらしい。
「雷を扱う力でこのオレ様に勝てる筈がねぇんだ。そっちがその気なら、最大出力のオレ様のサンダーブレスを受けてみやがれ!!」
そして上空で雷のドラゴンはブレスの構えをとった。最大出力と言い張っているからなのか、どうも溜めが長すぎる。
俺もサンダーブレスで勝負してもいいが……下手したら消し炭にしてしまうかもしれないからな。
「そんな溜めの長い攻撃は、実戦じゃ使い物にならないぞ。」
体を龍化させて、翼を生やした俺は雷のドラゴンの真横まで一気に羽ばたく。
「本当はブレスとブレスで勝負してやりたかったが、お前みたいに生意気な奴でも、殺す理由は無いからな。」
「なっ……。」
遠心力をフルに使って、雷のドラゴンの後頭部に回し蹴りを叩き込む。すると、奴は龍集会が行われている山の頂上へと、凄まじい勢いで叩きつけられた。
その横に俺も着地し、雷のドラゴンの生死を確かめる。
「あが…が。」
「うん、ちゃんと生きてるな。龍集会が終わるまでは大人しくしててくれ。」
雷のドラゴンが完全に気絶していることを確認して、俺はドラゴンたちが集まっている場所へと戻るのだった。
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