龍集会で飛び出したある話題


 戻ってきた俺の姿を見て、誇らしそうなランとレイの二人。その他のドラゴン達は呆気に取られていた。


「ま、ワシが介入するまでもなかったのじゃ。この通り、ワシとランのツガイは強い。ワシらがツガイと認めるのも納得じゃろ?」


 そして、俺とドーナに対して突っ込んで来る輩がいなくなったところで、改めて龍集会が始まり、各々の今の現状などなどが話し合われた。すると、毒々しい鱗のドラゴンから気になる話題が出てきた。


「そういえばぁ~、最近変な魔物が増えてきたのよねぇ。」


「変な魔物とはなんじゃ?」


「なんて言えばいいのかしらぁ、凶暴?狂乱?とにかく様子がおかしいのよねぇ。私たちみたいな龍相手でも臆することなく戦いを挑んでくるの。」


「それはなかなかに興味深い。通常の魔物であれば、余程のことがなければ命を顧みず襲い掛かってくることは無い。しかし話を聞く限り、縄張りを襲ったとかそういうわけでもないのじゃろ?」


「そんなめんどくさいことしませんよぉ~。」


「ふむ、そうなると魔物の生態が変わってきている……もしくは何者かが意図的に魔物の生態を変えようとしているとしか考えられぬな。」


「魔物の生態なんて少しの時間で変わるものでもないですからねぇ。」


「うむ、ではその様子のおかしい魔物については各々できる範囲で調査をしてくれ。次回の龍集会でその報告を聞くとしよう。」


 そうレイが切りのない話に一度終止符を打つと、彼女はパンと手を鳴らす。


「では以上で此度の龍集会は終了とする。次回は何か先の話にあった魔物について情報が集まり次第開催する。それでは解散だ。」


 そしてレイは龍集会の終わりを宣言した。すると、集まっていたドラゴン達が次々にどこかへと飛び去っていく。いまだに目を覚まさない雷のドラゴンは、毒々しい色のドラゴンによって介抱されながら連れていかれていた。


 あの毒々しい色のドラゴン……最後に俺の方を見てニヤリと笑った気がするが、まぁ気のせいだろう。


 俺たちとウォータードラゴン以外のドラゴンが全ていなくなったところで、レイが大きくため息を吐き出した。


「やれやれ、なんとか無事に終わったのじゃ。」


「ボルトドラゴンの奴が噛みついてきたときは、もう滅茶苦茶になるような予感しかなかったわ。」


「まぁなにはともあれ、無事に終わってよかったですねぇ~。」


「うむうむ、まったくじゃ。して……ウォータードラゴンや、そなたの方でも件の魔物のことを少々調べておいてくれ。」


「承知しましたぁ~。それでは私はこれでぇ失礼しま~す。」


 とまたもや独特な方法で飛び去って行ったウォータードラゴンを見送って、俺たちもエルフの国へと帰るのだった。

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