新作のお菓子の材料を求めて


 お昼休憩に入ったところで、俺はここからの営業を少しみんなに任せることにした。


「みんな、ここからの営業は任せるよ。」


「お出かけですかぁ?」


「あぁ、ちょっと新作のお菓子の材料を探しに行ってくるよ。」


「新作!?」


 その言葉にユリが興奮したように聞き返してきた。


「どんなお菓子を作るんだ!?」


「それはまだ未定だ。いろんな材料を見て、どんなお菓子を作るか決めてくるよ。」


 一度みんなに営業を任せて、俺は一度王宮へと戻った。そしてとある人物の部屋へと向かう。


「フレイ、いるか?」


「いるいる〜!!」


 部屋をノックして声をかけると、パタパタと慌ててフレイが飛び出してきた。


「えへへ、お待たせ。」


「それじゃあ行こうか。」


「うん!!」


 フレイとともに、俺は市場の方へと歩いていく。昼間になってもまだここは賑やかだ。


「ヒイラギさん、今日はお菓子の材料を見に行くんだよね?」


「あぁ、ちょうど今日……ミルタさんがこの市場の通りにお店を開いたらしくてな。」


 今回の仕入れ先は、ミルタさんのお店からにしようと思っていたのだ。話を聞いたところ、なにやら獣人の国の特産品とかをたくさん仕入れられるルートを確立したとか……。

 最初こそ、どこから手を付ければいいのか迷っていたが、一歩を踏み出してからは早かったな。


「確か、一番奥って言ってたよな。」


 流石に市場の中央付近に土地を買うことはできなかったらしく、一番端に店を構えたと言っていた。


「そこに行くまでに、少し市場を見ながら歩いていこうか。」


「そうだね。」


 ミルタさんの店に赴く前に、フレイと一緒に市場に売ってある色んな野菜や果物、そして肉などを見て買いながら歩いた。


 買い物をしながら歩いていると、あっという間に市場の出口付近へと辿り着く。


「多分この辺だと思うが……。」


「あっ、あれじゃないかな?」


 フレイが指差した先には、獣人族の言葉と人間の言葉で看板に『ミルタ商会』と書いてある不思議なお店がポツンと建っていた。


「あれみたいだな。」


 早速その建物の扉をノックしてみると、驚くことに獣人のメイド服を着た女性が出迎えてくれた。


「あなた様は……ヒイラギ様ですよね?ようこそいらっしゃいました。」


「今日はミルタさんはいるかな?」


「少々お待ちくださいませ。」


 それから少しすると、奥の方からミルタさんが急ぎ足でこちらに向かってきた。

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