お菓子を食べるお手伝い
営業が始まる直前、シア達がこちらに駆け寄ってきた。
「お兄さん!!シア達は何すればいい~?」
「シア達には~、お客さんみんなの前でお菓子を食べてもらおうかな。」
「お菓子を食べるだけでいいんすか!?」
「かんたん…。」
お願いしたお手伝いの簡単さに、シア達は思わず驚いていた。シア達に普通にお店の手伝いをしてもらうこともできたが、それだと長時間立ちっぱなしで疲れてしまう。シア達が疲れずに…尚且つ楽しくお手伝いができる方法がこれだったというわけだ。
「確かに食べるだけだったら簡単だな。でもみんなにしてもらいたいのは、お客さんの前でできるだけ美味しく食べることなんだ。」
「でもそれも簡単っ!!だってお兄さんたちが作るお菓子ぜ~んぶ美味しいもん!!」
「しあちゃんの…いうとおり。」
「ヒイラギさん達のお菓子なら大丈夫っす!!任せてほしいっすよ!!」
「それじゃあ、お願いするぞみんな。」
俺はみんなにどら焼きや、マンドラアイスクリームといったお店で販売しているメニューを配っていく。
「もし食べ終わったら、受け取りに来てくれ。あと、これは気を付けてほしいんだけど……ゆっくり食べないと、後半お腹いっぱいになっちゃって食べるのが辛くなっちゃうから。なるべくゆっくり、味わって食べてくれ。」
「「「は~い!!」」」
そしてシア達はお菓子を持って飲食スペースへと向かって行く。このやり取りをミクモが隣で見ていた。
「ふむふむ、なるほど……子供たちが美味しく食べている様子をわざと見せつけることによって、客の購買意欲を掻き立てるという方法か。」
「その通り。誰だってあんなに美味しそうに食べてたら、気になってしまうだろ?」
「うむ、まったくその通りじゃな。」
すると、ミクモも何かを思いついたらしくパタパタと自分の店に駆け込むと、何やら油で揚げた豆腐をお皿に盛り付けてシア達のもとへと向かった。
「甘いものばかりでは口が飽きるじゃろう。妾の店で売っている商品じゃ、口直しに食ってみんか?」
「ミクモお姉さんありがとう!!」
「よいのじゃよいのじゃ。足りなかったら遠慮なく声をかけるのじゃ~。」
ひらひらとシア達に手を振ってミクモは再びこちらに戻ってきた。
「ありがとうなミクモ。」
「嬢ちゃんらが飽きることなく美味しく食べるにはこれが一番じゃろうからな。それに妾の店の繁盛にもつながる。」
そしていざ営業が始まると、一番客が王宮からドスドスとこちらに向かって走ってきた。
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