お手伝いしたい子供たち
翌日……今日は獣人族の国での営業だ。今日営業を手伝ってくれるメンバーの点呼を行っていると、シアとメリッサ、そしてグレイスの二人と一匹が社員のエルフ達の横でビシッと手を上げていた。
「みんな……ここでなにしてるんだ?」
「メリッサちゃんとグレイスと一緒に、お兄さんを手伝いたいの!!」
「ぱぱのこと…てつだう!」
「自分も手伝えることがあったら手伝うっすよ〜!!」
すっかり三人ともやる気満々だ。断るのも気が引けてしまうな。
「わかった。その代わり、ちゃんと俺の目の届くところにいるんだぞ?」
「うん!!」
「がんばる!」
意気込んでいるシア達を眺めていたユリ達が、ポツリと呟いた。
「か、可愛いな……。」
「小さい子供からしか得られないものがありますねぇ〜。」
そして獣人族の国へとつながる秘密の抜け道で魔法陣に触れて、獣人族の国へと向かう。すると、以前とは違い今回は王都の目の前に転移して来ていた。
「カリンが魔法陣を少し弄ってくれたのかな?なんにせよ、長い距離を歩かなくて済むのはありがたいな。」
俺たちが現れたのを見ていた兵士が急いでこちらに駆け寄ってきた。
「ヒイラギ様に、エルフの皆様方お疲れ様であります!!」
「多分シンから話は聞いてるよな?」
「もちろんであります。場所もご用意していますので、どうぞこちらへ。」
人間の国のもてなしと同様に、獣人の兵士たちに囲まれて営業をする場所へと案内された。すると、そこには見覚えのある人物が出店を構えてこちらを待っていた。
「おっ?来たな来たな~。」
「あっ!!ミクモお姉さんだ!!」
「なんでミクモがここにいるんだ?」
「そんなことは決まっておる!!エルフの菓子を売る店ならば、興味本位で買いに来る輩がたくさんいるじゃろう……つまり!!妾がその隣で商いをすることにより、妾の豆腐をついでに買っていくやもしれんと思いたったのじゃ!!」
なんとも理にかなったことをしようとしているのだろう……。売り方というのをしっかりと理解している。
「妾はエルフの護衛も兼ねてここにおる故、断ることはできぬじゃろう?」
「なるほど、そう来たか。」
ミクモが護衛としてついてくれるなら、かなり安心はできる。それに俺個人としても豆腐というものの存在が知れ渡ってほしいと思っているからな。
そういうわけで今日はミクモと共に、営業をすることになったのだった。
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