不思議なヴェールの果物
早速、みんなが買ってきたヴェールで取れた果物をまな板の上に並べていく。
「ものすごい量だな。」
「ボクも結構買ったつもりだったんだけど……みんなもたくさん買ってたんだね。」
「一回ですべてを味わいつくすのは無理だから、今日はいくつかピックアップしてタルトに乗せよう。フレイはどれをタルトに乗せたい?」
そうフレイに問いかけると、彼女は自分で選んで買ってきた果物をいくつか手に取った。
「お店の人から聞いた感じだと、ボクはこれが気になってるかなぁ。」
「ほうほう、どういう果物か説明してもらってもいいか?」
「うん!!まずはこれなんだけど…。」
フレイは星のような形をした小さな果物を手に取った。
「これは
「面白そうな果物だな。試しに一粒いただきます。」
「あ、ボクも食べてみる!!」
味見で星ベリリを一粒口に放り込んでみると、噛んだ瞬間に炭酸のようなシュワっとした甘酸っぱい果汁が口いっぱいに広がった。
「ん~、なるほどなるほど。これは良いアクセントになるな。」
「おいし~♪」
星ベリリは採用だ。小さいからタルト全体にたくさん散らそう。
「次は~これっ!!
次にフレイが手に取った果実からは、冷たそうな冷気が溢れ出している。
「これはこの凍ってる表面に強い衝撃を与えると~……えいっ!!」
アイスフルーツをボウルの底に打ち付けると、表面が割れて中から色とりどりの丸い形状の果肉?のようなものがゴロゴロと転がり出てきた。
「お~、これはまた変わってるな。」
「食べてみようよ!!」
「あぁ、そうだな。」
フレイは赤色のアイスフルーツを、俺は緑色のアイスフルーツを口に放り込んだ。
「んっ、冷たい……けど甘くて美味し~い!!」
「さながら果汁100%のアイスキャンディーだな。これも採用っと。」
いろんな果物を味見しながら、フルーツタルトに使う果物を決めていると、向こうの方からシア達がうらやましそうにこちらを眺めていることに気が付いてしまった。
さすがにそろそろフルーツタルトを完成させた方がよさそうだな。
みんなの我慢の限界が来る前に、急いでタルト生地にカスタードクリームを敷き詰め、その上にいろんな果物を散りばめていく。
「よ~し、ヴェールで採れた果物のフルーツタルト……完成だ。」
フルーツタルトが完成すると、シアとメリッサがこちらに走ってきた。
「お兄さん!!シアも早く食べた~い!!」
「ぱぱと…ふれいちゃん…ずるいの!」
「ごめんごめん。さぁさぁ、あとはみんなで食べような。」
そして出来上がったフルーツタルトを持って、お待ちかねのみんなのもとへと向かうのだった。
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