ヴェールの果物でお菓子作り


 たくさんの果物や野菜を買った後、ヴェールの近くでハウスキットを展開すると、フレイとともに厨房に立った。


「さて、それじゃあ早速作っていこうか。」


「今日は何を作るの?」


「今日は買った果物をふんだんに使った、フルーツタルトを作ろう。」


 今回作るお菓子を発表すると……。


「あ!!それボク、メリッサちゃんと一緒に本で見たよ!!」


「なら作り方はわかるか?」


「い、一応……。」


「ま、今日は俺も一緒に作るから……フレイは作り方を覚えながら、手伝ってくれ。」


「うん、わかったよ。」


「よし、それじゃあ早速タルト生地から作るぞ……と言いたいところだが。」


 実はタルト生地は、事前に仕込んだ物がある。いつでもタルトを作れるように……と、ケーキを作るときに一緒に仕込んでいたのだ。


「タルト生地はこれを使う。」


「え、もう作ってあったの?」


「あぁ、いつでもタルトを作れるように、あらかじめ仕込んでおいた。作り方はここに書いておいたぞ。」


 こちらの世界の言葉で書いた、タルト生地のレシピをフレイに手渡した。


「わっ!!ありがと〜!!」


「その通りに作れば、失敗はしないはずだ。」


 タルト生地は出来ているので、ここに敷き詰めるカスタードクリームを作ろう。


「それじゃあフレイ、ここに書いてある分量を測ってくれないか?」


「任せてよ〜!!」


 そうお願いすると、フレイは手早くメモに書いてある分量を測っていった。


「全部測り終わったよ、ヒイラギさん。」


「よし、それじゃあその材料を一つずつ鍋に入れて、しっかりと混ぜるんだ。」


 そしてフレイは鍋に砂糖と卵黄……そして小麦粉を入れてしっかりと混ぜていく。


「んしょ……よいしょ、こんな感じでいいかな?」


「あぁ大丈夫。それじゃ、次に牛乳を入れてくぞ。ここからはダマができないように、手早くしっかりと混ぜてくれ。」


 ゆっくりと、温めた牛乳を鍋の中に注ぎ入れていくと、小麦粉と牛乳が混ざり合い、トロリとした液体になった。


「よし、それじゃ交代しよう。」


 フレイからゴムベラと泡だて器を受け取り、その液体を火にかけていく。


「フレイ、よく見てるんだぞ?」


「う、うん。」


 ゆっくりと温度を上げていき、沸騰直前で火を一気に落とす。ここにバターを加え、ひたすらに混ぜる。

 すると、液体がどんどんもったりとしたクリーム状になっていく。


「あとは、これをバットに広げて氷でしっかりと冷ます。」


 一通りの工程を終えると、フレイが出来上がったものを指さして、質問を投げかけてくる。


「ヒイラギさん、これは何?」


「これはカスタードクリームだ。」


「あ、それも本で何回も出てきてた。」


「そう、お菓子作りにおいて色々なお菓子に使われる基本のクリームだ。」


「こうやって作るんだね〜。なるほどなるほど……。」


 自分のノートにフレイは次々にメモを取っていく。


「まだ冷えてないけど、味見してみるか?」


「え、いいの?」


「これも作る人の特権だ。」


 スプーンで少しカスタードクリームを掬うと、フレイに差し出した。


「ほら、口開けて。」


「あ、あぅ……あ〜。」


 少し恥ずかしそうにしながらも、フレイはカスタードクリームを食べる。すると、表情を綻ばせながら一言ポツリと感想を口にした。


「甘くて美味しい……。それに凄く滑らかで、濃厚だよ。」


「それがカスタードクリームのお手本だ。自分で作るときは、これを目指して作ってみるんだぞ?」


「うん、頑張るよ!!」


 さて、カスタードクリームを冷やしている間に、盛り付けるフルーツを切り分けよう。

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